出版社内容情報
源氏政権の鎌倉幕府に先立って、「平氏にあらずんば人にあらず」と言わしめた平清盛。その実像を、NHK大河の時代考証者が描く!
内容説明
「平家にあらずんば人に非ず」と栄華を誇り、武士の時代の先駆者となった平清盛。ずば抜けた武力を持ちながら、朝廷貴族たちの顔を立てつつ、武家・公家両面での栄達を遂げたのはなぜか。大河ドラマの時代考証を担当する第一人者が、その実像に迫る。
目次
巻の1 清盛の時代を知る(史実とフィクションの間で;大河ドラマの時代考証;清盛、その出生の謎;平家は武士か貴族か)
巻の2 改革者・清盛は何を学んだか(ライバル源氏、義朝と頼朝;武力のめざめ、保元・平治の乱;頂点に立つ平家幕府;源平の戦いと清盛の死)
著者等紹介
本郷和人[ホンゴウカズト]
1960年、東京生まれ。東京大学史料編纂所准教授。東大文学部・同大学院で石井進氏・五味文彦氏に師事し、日本中世史を学ぶ。専攻は中世政治史、古文書学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たいぱぱ
52
テレビでよく拝見している東大教授・本郷さん。前半は大河ドラマ『平清盛』(視てませんが)の時代考証者としてのドラマの裏話。東大教授の肩書からは想像できない分かりやすい文章でしたが、想像よりかなり軽い。但し後半、登場人物(?)が多過ぎて頭がごちゃごちゃになりました。知ってる名前は良いけど、知らない名前の羅列は覚え切れない(笑)。清盛と西行が主人公の夢枕獏さんの『宿神』が大好きなので、西行にほとんど触れられてないのが不満です。全く身勝手な不満ですが。とはいえ面白くは読めましたよ。やはり清盛は時代の開拓者でした。2020/01/20
永野芽郁と田中圭を足して2で割った寺
41
先日、大河ドラマ『平清盛』の総集編DVDを観て面白かった。そのドラマの時代考証を担当した歴史学者・本郷和人による考証余話的清盛論。難しい所もあるが、文章が平易なので読み易い。私は広島人なので清盛さんは割と好きだ。武士で初めて日本の最高権力者に上り詰める偉業をした人である。思えば天才ではないか。その偉業の秘密を清盛周囲の状況から読み解く本。平安時代の事なんて何も知らない自分につくづく驚いた。昔の人は別世界人でありながら、現代人が舌を巻く知性がある。一族で殺し合う源氏に比べ、一門で滅びる平家は驚異。2015/04/16
mitei
37
ドラマの時代考証がどのようになされているのかよくわかった。また同じ歴史家同士でも解釈の違いが鮮明にわかるのでよかった。2012/04/14
太田青磁
20
1179年、清盛のクーデターを持って武士政権が成立した。西国をまとめ山陽道の経済力を地盤とした、清盛の福原幕府構想に驚きます。時代考証の制約①画にするため②ストーリーが主③制作に関わる仕事の一つ・五位以上が殿上人・平家は清盛が一門を統率しているのに対し、源氏は一族で相争う・出家には世俗の身分や秩序から一定の度合いで自由になる・下から歴史は積み上がっていく・清盛は上皇と天皇の対立構造を利用しながら出世を遂げていく・将軍と幕府の本質は軍事と政治・獲得した知行国は越中・飛騨・美濃・三河のライン・厳島は海運の要衝2013/12/28
maito/まいと
18
本郷さんが大河ドラマ時代考証担当されていたときの1冊。このころから砕けた文調だったんだなあ(笑)大河ドラマの副読本的要素が強い本だが、結構分かりづらい平安末期を知るのにうってつけ。「平清盛」自体は色々言われた作品だった。まあ、1000年近く前の時代の論理感を(ある程度)ありのままに知りつつ、今の日本に活かしていけるところを引き抜こうとする本郷さんの意気込みはこの本から伝わってくる。2014/10/28