内容説明
責任感、リーダーシップ、戦略の有無、知性、人望…昭和の代表的軍人二十二人を俎上に載せて、敗軍の将たちの人物にあえて評価を下す。リーダーたるには何が必要なのか。
目次
名将篇(栗林忠道;石原莞爾と永田鉄山;米内光政と山口多聞;山下奉文と武藤章;伊藤整一と小沢治三郎;宮崎繁三郎と小野寺信;今村均と山本五十六)
愚将篇(服部卓四郎と辻政信;牟田口廉也と瀬島龍三;石川信吾と岡敬純;特攻隊の責任者―大西瀧治郎・冨永恭次・菅原道大)
著者等紹介
半藤一利[ハンドウカズトシ]
1930年生まれ、東京大学文学部卒業後、文藝春秋入社。『週刊文春』『文藝春秋』各編集長、専務取締役を歴任。作家、歴史探偵
保阪正康[ホサカマサヤス]
1939年、札幌市生まれ。同志社大学文学部卒。ノンフィクション作家。昭和史研究で2004年に菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nnpusnsn1945
51
半藤さんの訃報を聞き急遽手に取った。当時の軍上層部関係者の話は今となっては聞けない者ばかりである。今村均のインドネシア統治(統治後半から引き締め政策を始めた)や、服部卓四郎が前線に出ていない(一号作戦で歩兵第65連隊長として直々に指揮している)等所々疑問点はあるが、人物評としては半藤、保阪両者とも手堅い評価を下しているのでおすすめ。ネットのいたずらな賛美よりは確実なものである。有能かつ冷静な日本の軍人は残念ながら主流とはならなかった。控えめに行っても役に立たない人間が中央に居座ってしまうのが皮肉である。2021/01/14
金吾
27
○昭和の軍人を名将・愚将に分けて論じています。いろいろな要素があるのでしょうけど、私は読んでいて責任感と公私の区分けが大きな要素かなと思いました。その部分が欠如している人が指導的な立場になるのは組織的な問題ならばまだマシですが、民族的な特性ならばやりきれないと思います。あと米内大将、山本元帥を名将というのは個人的に違和感があります。2024/08/26
カブトムシ
27
「責任感、リーダーシップ、戦略の有無、知性、人望……昭和の代表的軍人22人を爼上に載せて、敗軍の将たちの人物にあえて評価を下す。リーダーたるには何が必要なのか。」(まえがきより)「硫黄島からの手紙」という映画が先行して上映され、その後になされた対談形式の書物である。映画を作ったのは、クリント・イーストウッドという名優。日本人の俳優は、渡辺謙、二宮和也さんなどと記憶している。
北本 亜嵐
26
半藤一利氏と保阪正康氏の対談形式による、昭和の代表的軍人22人の評価を下した本。リーダーシップ、戦略の有無や知性に人望、責任感を通して「名将」「愚将」の結論を出している。名将たちの潔さに納得する反面、愚将たちの「世渡り上手」には呆れるしかない。特に第8章に登場する服部卓四郎と辻政信の項はそれを通り越して人としてどうなのか?と思った。軍人に詳しくない人も安心して読める一冊。2015/08/04
高橋 橘苑
21
特に異論は無いが、未だに石原莞爾に関しては二人の意見に納得できない。昭和史に詳しい両人の高い評価に、いつも釈然としないでいる。もし、石原が権勢ある地位にいたら、軍部の暴走は無かっただろうか。五族協和など本気で成就できたと考えていたのだろうか。勿論、石原の2・26事件での凛とした行動には敬意を払うが、知識不足もあり、個人的にはグレーな気分になる。あと特攻に関して、自分も少しばかり遺書を読んだ事があるが、滂沱と涙して、全くページが進まなかった記憶がある。保阪氏と同じく、簡単には総括しきれない感情が残っている。2015/03/06