内容説明
古典からサブカルチャーまで、今日の日本人にとってヴィヴィッドであるべき書物約155冊を紹介。「決して情報に還元されることのない思考」のすばらしさを読者に提案する。
目次
第1章 生のもの(エドワード・W・サイード『オリエンタリズム』;ジョー・サッコ『パレスチナ』;若松孝二『時効なし。』 ほか)
第2章 火を通したもの(黒澤明『蝦蟇の油』;吉田健一;平岡正明『昭和ジャズ喫茶伝説』 ほか)
第3章 発酵したもの(マルクス・アウレーリウス『自省録』;ダンテ『神曲』;今橋理子『江戸の動物画』、『手塚治虫のディズニー漫画バンビピノキオ』 ほか)
第4章 読むことのアニマのための100冊
著者等紹介
四方田犬彦[ヨモタイヌヒコ]
1953年生まれ。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文学を学ぶ。韓国の建国大学をはじめ、アメリカ、イタリア、イスラエルなどの大学で教鞭を執り、現在は明治学院大学教授として映画史を講じる。著書に『モロッコ流謫』(伊藤整文学賞)『映画史への招待』(サントリー学芸賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
124
ちょっと題名が、という感じがしますが、中身はかなり考えられて本を推薦しておられるなあという感じがしました。しかも分類が「生のもの」「火を通したもの」「発酵したもの」ということで、本や作者についてじっくりと評論のような感じで書かれていて納得しました。最後に読むことのアニマのための100冊という一覧がついていて参考になります。読みたい本が増えます。2015/12/18
浅香山三郎
12
四方田さんの本は、二冊目。野蛮で暴力的ではない側に人間を置くために読書は必要(ジョージ・スタイナー)、といふとおり、世の中への無関心とただ生きる為だけに日々を過ごしてゐると、野蛮で暴力的なものを見過ごしてしまい、さういふ形でそれに加担してしまひさうだ。紹介されてゐる本で読んだことのあるものはごくわずかだつたが、映画・パレスチナ・音楽・詩・漫画と、読書の周辺にある「人間を守る」事どもの魅力に誘ふ藝当が素晴らしい。2017/12/13
三柴ゆよし
6
四方田氏の曰く、「仕事と関係なく純粋に楽しみで読むのが読書の本当のあり方です」。然り。これは本当に真理だと思う。また、こんなことも言っている。「わたしは大概の書物を寝台で読みます。寝台は机と違って、そこで生じることに責任を問われることのない家具なのです」。これも然り。僕も読書は寝転んでする。読書とは本来的には無責任な行為だ。自己の精神の蠕動に、どうして責任が持てる? 世の精神的エピキュリアンまたの名を本の虫必読のブックガイドである。褒めすぎだね。2009/11/08
ohashi
5
読書は、本物の経験。この考え方には、長く疑問と不安が付きまとっていた。でも、今ならはっきりと分かる。読書は、本物の、そしてかけがえのない経験って。自分を変える、なんて最早なんの力も持たないお題目に成り果てたようにも思うけど、最後の最後に読書という最強の戦士によって、自分を変えることができるとは!!2014/01/25
おらひらお
4
2007年初版。著者と自分の読書の嗜好がずれているところがややつらい。あと、仕事で読む本も別に嫌々読んでいるわけでなく、新しい知見を得たときなどかなり楽しい気分になりますが、著者は勉強+仕事に関する読書を否定的に捕らえています。2011/06/18