内容説明
「親殺し」が続発している。一見、不可解な事件の数々がいかに「家族」の歪みを投影しているか。気鋭の精神分析医がすべての親に向け、わが子に殺されないための「処方箋」を提示する。
目次
第1章 ひきこもりの親殺し(水戸ひきこもり;土浦ひきこもり ほか)
第2章 母殺し(中一母親殺害;稚内母親殺害 ほか)
第3章 優等生の暴走(奈良放火殺人;京都母親刺傷 ほか)
むすび―わが子に殺されないために
著者等紹介
片田珠美[カタダタマミ]
1961年広島県生まれ。大阪大学医学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。専門は精神医学、精神分析。フランス政府給費留学生としてパリ第八大学でラカン派の精神分析を学びDEA(専門研究課程修了証書)取得。精神科医として臨床に携わりつつ、精神分析的視点から欲望の構造について研究。神戸親和女子大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カッパ
15
打たれ弱い子供を作ったのは教育のそして社会の問題のようにも思う。これからどうなっていくのか。2018/07/24
ネギっ子gen
11
なんともショッキングな題名。<親殺しという行為を、いくつかの要因の複合体としてとらえ、脳に還元できない要因、とくに心理的・家庭的、社会的要因をていねいに/語られた言葉にひたすら耳を傾け、本人の生育歴、親子関係、家族の抱える葛藤、犯行のきっかけ、さらには背景にある教育や社会の問題などを、精神分析的な手法>で分析した本。では、悩める親への処方箋5つ。①過度の期待は禁物。②母子密着は禁物。③抑止力を高める。④危険信号を見逃すな。⑤早めに相談を。みな、「当たり前」のことだが、これが一番難しく、そして重要だ、と。⇒2020/12/15
天使
9
親殺しの事例8つを分析、共通する原因や現代病理を読み解き、処方箋に軽く触れている 他の方が言われているように参考文献の信憑性とか、処方箋が抽象的で不足していたりと気になる点はある、有名な事例に対しこういう捉え方もあるくらい、という位に考えると良い やはり、成熟拒否・親の子供への自己投影・親子共依存・競争社会・犯罪+母子同一化抑止の為の地域ネットワークの崩壊、要因は多岐に渡り簡単に解決できる問題ではないのだと感じた しかしこの作者『一億総ガキ社会』の時といいタイトルが刺激的ですね2019/12/21
なお
4
子供による親殺しを、具体的な事例を挙げて説明しており、なにが要因になっているのかが解説されている。 筆者によると、親の過度な期待、異常な母子密着、父親の不在、身近な人との別離、などを要因としてあげている。 エリート一家で優秀な子供に、最近親殺しが多いのも、こういった要因が発生しやすいのではないか、とのこと。 過保護、過干渉は良くないということですね。2019/10/14
かなもー
3
何軒かの事件を取り上げ、なぜ親殺しが起こるのか分析し、比べているので、事件の概要はとてもわかりやすい。が、闇が深すぎて、その原因を理解するにはあまりにも難しい題材だと思う。2015/05/13