内容説明
死期が迫りながらも、ランドセルを手離さなかった女の子。片足を切断した野球好きの男の子―長期入院を強いられた子どもたちに授業を届ける、自称・出前教師が二十年間を振り返りながら、学ぶとは何か?教えるとは何か?を問う。
目次
第1章 病院訪問教育とはどんなものか(四季のない道;私は出前教師 ほか)
第2章 病弱教育の歴史(小さな王;地域による格差 ほか)
第3章 出前教師の営業活動(父の夢;「授業やります。料金は無料!」 ほか)
第4章 教師にできること、できないこと(義足の野球選手;教室をください ほか)
第5章 仲間たち(島のおばさん;学校の現実 ほか)
著者等紹介
山本純士[ヤマモトジュンジ]
1956年愛知県生まれ。愛知県立一宮聾学校に新任で赴任。愛知県立大府養護学校を経て、現在、愛知県立半田養護学校勤務。日本生活教育連盟愛知サークル事務局長、愛知県高等学校教職員組合執行委員などを務める。愛知県知多市で地域教室「のびのび」主宰。著書に『15メートルの通学路』(第14回北九州市自分史文学賞)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きょーこ
11
2006年発刊。我が子の入院時に同じ部屋の人が受けていたので、手に取ってみた。入院している期間、先生が教えに来てくれる制度がある。入院時ということで子どもも家族もデリケートなケースも多いだろう。教師のできることを考える本だ。憲法26条「等しく教育を受ける権利」長期入院中、勉強や先生の訪問が希望となるケースが増えるといいなと感じる。グレーゾーン(退院したが登校は難しい人)への対応がまだない。みんなと違う人たちが、もっと尊重されますように。先生の大変さも体験談から知ることができた。2015/11/08
ハメ・ドゥースト
0
★★☆『プレイボール』代記2012/05/25
きんにく
0
病院訪問教育とはどんなものか分かりやすかったです。著者の現場での体験談が書かれていた。また体験談だけでは無く、病弱教育の歴史や制度などの説明がバランス良く書かれていて面白かったです。 2010/10/06
epitaph3
0
病弱教育に興味があるならば、必読。「人間のこどもは、能動的な生きものである。落ち込んでいても、いつかどこかで明るく意欲的な姿を見せるようになる。そのときようやく教師の仕事を始めればいい。なかには気持ちを立て直せないまま、長い時間を過ごす子もいるだろう。そんな時は黙って脇にいるしかない。結局のところ教師などというものは、こどもたちの内なる力に依拠しつつ、彼や彼女らに寄り添うしかできないのだ」2008/08/23