内容説明
昭和戦前期は複雑怪奇な時代であった。野心で膨れあがった政治家や軍人たちが権謀術数をめぐらし、クーデタ騒ぎも絶えなかった。その動乱の渦のなかで派手に動きまわりながら、いまは何故か忘れられている三人の「怪物」がいる。森恪、久原房之助、宇垣一成である。この三人がいなかったとしたら、大日本帝国終末期二十年の様相はまったく変わっていただろうと言っても過言ではない。歴史を作るのは人間だということを再確認させるノンフィクション。
目次
森恪―昭和動乱の点火者(五・一五事件当夜の怪;正式には「つとむ」;中国革命と三井財閥 ほか)
久原房之助―先読みの怪物(銅山王、政界に登場;叔父・藤田伝三郎;財閥への道 ほか)
宇垣一成―挫折と自信の野心家(近衛内閣外務大臣;日中和平交渉の段どり;軍部の妨害 ほか)
著者等紹介
畠山武[ハタケヤマタケシ]
1924年、宮城県気仙沼市生まれ。東京大学法学部卒業後、49年、朝日新聞社入社。政治部長、調査研究室長、電波総務などを歴任し、83年、北海道テレビ放送社長。のちに会長、相談役
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
18
戦前から戦中にかけて政治の表舞台にたった人物をまとめたもの。あまり名前を知らない人物ばかりだったこともあり、勉強のつもりで読んだ。現代史は昔から弱かったのでもっと補強したい。2013/08/02
おらひらお
3
2003年初版。タイトルに怪物たちとありますが、取り上げている人物は3人のみです。宇垣一成については中公新書で一冊にまとめられているので、やや既読感がありますが、ほかの二人については新鮮に感じることができました。戦前の政党政治の評価はなかなか厳しいものみたいです。2013/02/03
sasha
2
もったいないなぁ。森格、久原房之助、宇垣一成。それぞれ1冊の本が書けるエピソードの持ち主なのに、この3人をまとめて200ページに満たない新書で済ませてしまうとは。それにしても、やっぱり出てくる西園寺公望なのである。どうあっても『西園寺公と政局』を読まねばならぬのか。高いんだよな…。2013/07/23
kwy8791
0
「なんか朝日っぽいなぁ」と思いつつ著者略歴をみたら1924生まれの朝日新聞の人だった。まぁ、そういう内容です2011/02/06
peace1975
0
狭い権力闘争と巨額の資金力に圧倒。ボタンの掛け違い一つで歴史が大きく変わっと思う。2021/08/20