内容説明
不老長生は誰もが願うところだが、古代中国人はさまざまなやり方でそれを達成しようとした。陰陽五行説に理論づけられ、漢民族の自然宗教である道教にとり入れられた房中長生(性交)術もその一つだ。しかし、宋の時代、理学が盛んになると、荒唐無稽、快楽を追求する邪道だと白眼視されてしまった。ところが再認識がすすみ、いまや現代科学も注目するところとなった「男女和合ノ道」の歴史、理論、実際の技巧などを詳述する。中国史の裏面を知るためにも格好の書。
目次
第1章 房中長生術の歴史(不老不死の国;性医学の最古の文献 ほか)
第2章 房中長生理論(天人合一;五行とは何か ほか)
第3章 性技巧とその方法(身心和合;合与不合 ほか)
第4章 道教と怛特羅瑜伽と西蔵密教(大喜楽禅定;西蔵密教の秘技 ほか)
著者等紹介
土屋英明[ツチヤエイメイ]
1935年、兵庫県生まれ。早稲田大学文学部卒。映像製作会社を退社後、文筆家。中国の文化と文学を研究
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感想・レビュー
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karatte
10
古書店にて。著者の言葉を借りるなら、〈房中長生法について、歴史から始めて理論、技巧と方法へと話を進め、そして最後に西蔵密教の秘法を付け加えてみた〉のが本書である。同じ題材を扱う他の書籍と一線を画するのは、やはり第三章〈性技巧とその方法〉だろう。全訳を旨とするカタカナ部分の露骨な表現は、初出が『問題小説』である点を考慮すれば合点がいくというもの。2016/03/15
韓信
3
房中術の歴史・理論・実際の技巧を解説する概説書だが、理論があまりにも難解。陰陽五行思想と易を理解しないことには読み解けない。また諸家の論説と房中術の歴史的変遷を結びつけずに説いている箇所が多いため、諸説紛々といった感じで房中術の全体像がつかみづらい。しかし読んでいて思うのは、房中術が女から精を採って不老長生を目指す、男目線の技巧として発達してきたことである。夏姫や趙飛燕の故事、軑侯夫人墓から出土した理論書の存在は、房中術が本来は男女がともに精を補い合う養生の術であったことを示唆しているはずだが。2013/10/28
Gen Kato
2
道教のこの流れが真言立川流の源流なのか。昔からこういうことに「健康法」を見出したり、「呪術」「秘儀」的な意味を求めちゃったりしていたひとたちはいたんだなあ、と思いつつ読了。2015/06/29
みお
1
艶やかで淫らなイメージもありますが、至って真面目な内容です。 ある種民族性にも関わる陰と陽について、素人でも結構わかりやすいなと思いました。 伝承その他が豊富に引用されていてそこも楽しかったです。2023/01/05
鴨の入れ首
0
2003年刊。図書館本です。道教の房中術に光を当てた中国哲学解説書です。表題からは淫らな印象を受けましたし、実際Hな内容を期待していた人も多かったでしょうが、内容は至って真面目でした。書いていることも想像の範疇をこえるものではなく、文章も平易で読みやすかったです。とてもユニークなテーマと内容でした。2025/04/17