感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
35
「昭和史発掘」の担当編集者で、清張記念館の館長も務めた女性による清張の思い出話。30年間もの付き合いを通じて見えてきた作家像が新鮮。半生の記については書いたことを後年、悔やんでいたそうな。本題である昭和史発掘は、以前読みかけて、基礎知識の無さから挫折しました。それだけに裏話や取材秘話も含めて、本著はダイジェスト版として楽しめました。宮部みゆきさんもおススメの「発掘」ですが、全13巻を読むには時間と根気が必要で、読み始めるのはまだ先かなあ。早大そばの古書店で購入。2018/06/16
とろとろ
25
読了したけれど…何と言ったら良いのだろうか。言葉が出ないです。「すごい人だった!」としか言いようがないですね。北九州市に松本清張記念館があるんだね。生きている間に一度は行ってみたいな。2015/12/28
浅香山三郎
10
松本清張担当の文藝春秋女性編集者による回顧録。第一部では、『半生の記』による小倉時代の清張の暗いイメージを検証し、作品ほど暗くない実像(朝日新聞西部支社時代の猛烈な向学心と才知)を補つてみせる。第二部は、著者藤井氏自身の作品とも言へる「昭和史発掘」の舞台裏を描く。現代史の研究者でもある藤井氏が、時に清張に意見してまでこの連載を熱心に支へてゐたことに驚く。作家発信の執筆計画だけではなく、多分に藤井氏自身がテーマを提案するなど、作家も編集者もに強烈な仕事人間なのが、いかにも昭和らしい。2016/04/30
ヴァン
9
清張担当編集者として、長年松本清張を支え、あとには松本清張記念館の館長を務めた著者の作家との思い出。【昭和史発掘】に関するエピソードが多く掲載されている。また、清張を読みたくなった。2025/03/24
Ted
7
'02年12月刊。○文春の清張担当だった編集者の目から見た松本清張の簡略な評伝。『半生の記』から想像されるほど貧しい生い立ちではなかったようなので、自伝というよりはフィクションとして読んだ方がよいらしい。学歴に対する強烈なコンプレックスと不遇な環境をバネに変えて、あれだけの膨大な著書をものした反骨の作家の努力と技量と好奇心に対する著者の偽りない敬愛の念がよく伝わってくる好著だった。なかでも『昭和史発掘』の二.二六事件の巻は発掘の名に相応しい新事実が盛り込まれており、評価が高いようなので一読してみたい。2016/02/01