内容説明
歌舞伎評論でも知られた作家・戸板康二にとって、「忠臣蔵」の主人公はあくまで「塩冶家家老・大星由良之助」であり、「赤穂藩家老・大石内蔵助」の名は咄嗟に思い出せなかったという。赤穂浪士たちの物語は、三百年にわたり日本人に愛され、落語、講談、映画など様々なかたちで取り上げられてきたが、江戸の庶民にとっても、それはすなわち歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』のことだった。実録・創作ない交ぜの「忠臣蔵世界」を、川柳を通じて味わいつくす。
目次
「太平記」の世界
兼好の不首尾
演劇史の生きた資料
兜改め
若狭助の恨み
「仮名手本」の先行作
松切り
駆け出す本蔵
進物
重きが上の小夜衣〔ほか〕
著者等紹介
阿部達二[アベタツジ]
昭和12(1937)年、青森市生れ。昭和36(1961)年、早稲田大学政治経済学部卒業、同年、出版社に入社。以後、編集者として勤務し、平成11(1999)年、退職した。歌舞伎をはじめとした古典芸能に造詣が深く、『江戸川柳で読む平家物語』(文春新書)『江戸川柳で読む百人一首』(角川選書)の著書がある。本名は達児
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感想・レビュー
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sawa
4
☆☆☆ 討ち入り記念第二弾。当時の人々が「赤穂浪士討ち入り事件」にどれ程関心を寄せていたかがとても伝わってくる川柳の数々。歌舞伎の「忠臣蔵」を元にしたのも(ここで紹介されている中では)かなりの比重を占めていて、当時の歌舞伎というものの影響力に驚かされる。歌舞伎評論家として有名な作家・戸板康二氏にとって、「忠臣蔵」の主人公はあくまで「塩冶家家老・大星由良之助」であり、「赤穂藩家老・大石内蔵助」の名は咄嗟に思い出さなかったそう。その気持ち分かる。2010/12/14
ムク
0
庶民目線で世の中を見ることができる江戸川柳を通して、史実とフィクション両方の忠臣蔵の世界を読み解く。実に面白かった。忠臣蔵のベースになっている太平記についても詳しく解説してくれているので、経緯や人間関係が分かりやすくストンと腑に落ちた。★★★★☆2013/10/07
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