内容説明
わが国には無批判に西洋クラシック音楽を崇拝し、自国の音楽を見下す風潮があるが、そろそろ日本人も、明治以来の音楽教育によって植え付けられた西洋音楽コンプレックスから脱却する必要があるのではないか。現に近代日本には、少数ながら、日本人としての美意職や音楽的伝統を基盤に、西洋音楽至上主義と闘ってきた作曲家や詩人たちがいた。古賀政男、中山晋平、本居長世、野口雨情らの作品を徹底検証、日本の歌を初めて実証的に評価した衝撃作。
目次
第1章 伝説好きの日本人(松井須磨子「悪女伝説」;三浦環「世界のプリマ伝説」;童謡ブーム伝説 ほか)
第2章 日本の音階とリズム(東西二洋の音楽取調;本居長世と日本の音階;野口雨情の民謡と童謡 ほか)
第3章 「古賀メロ」解剖(古賀メロディーと仏教声明;古賀メロディーの音階;古賀メロディーのテンポとリズム ほか)
著者等紹介
藍川由美[アイカワユミ]
1956年、香川県生まれ。ソプラノ歌手。東京芸術大学大学院博士後期課程修了。「演奏家としての立場における『山田耕筰歌曲の楽譜に関する研究』」で学術博士号を取得。92年、「藍川由美リサイタル」の成果により文化庁芸術祭賞を受賞
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