内容説明
凶悪犯罪の加害者なら、少年でも実名を書いていいというのではない。成年だからといって、関係者に誰一人会わず警察情報だけから実名を報道する、あるいは被害者のプライバシーを興味本位に報道することのほうが問題ではないのか。「実名報道」こそは、書く側の覚悟が問われるものだ―九八年一月に大阪府堺市で起きた、シンナー中毒の十九歳少年による通り魔殺人事件の報道をめぐり、法廷のみならずマスコミ・言論界を巻き込んで行われた議論の全て。
目次
1 名前で呼ばれるべき「生」と「死」
2 ルポルタージュ「幼稚園児」虐殺犯人の起臥
3 大阪地裁での裁判
4 大阪高裁での裁判
5 裁判のあとで
著者等紹介
高山文彦[タカヤマフミヒコ]
1958(昭和33)年生まれ。法政大学文学部中退。作家大下英治氏の事務所に在籍した後、ノンフィクション作家となる。95年、98年の2度にわたり「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」(作品賞)を受賞。2000年、『火花 北条民雄の生涯』で大宅壮一ノンフィクション賞および講談社ノンフィクション賞を受賞
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感想・レビュー
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金吾
26
実名報道の経緯はわかりましたが、何故実名報道なのかは消化不良でした。意思をもって殺人等の凶悪犯罪を犯したものが更生するとはなかなか思えないので凶悪犯罪に限り実名報道でいいかなと思います。2023/12/29
ころまる
1
難しい問題だと思いました。今後の人生を考えると、実名を世間に晒すのは更生の妨げになる可能性もあります。でもその一方で被害者の方は実名で報道されている。冤罪のこともあって加害者の人権を守るようになったのは分かります。それでも被害者の方にもっと寄り添った形にならないものかと思います。2021/02/05
ティス@考える豚
1
不快感しかない2018/05/22
レコバ
1
訴訟の当事者ながらノンフィクション作家としてそれなりにバランスに配慮した内容だと感じた。結果的に最高裁の判断まで辿り着かず、明らかに行き過ぎた高裁判決が確定したことが残念だと感じた。未確定かどうかは別にしても被疑者の氏名、容貌を社会的関心事とするのは気持ち悪い。2015/01/15
びーちゃん
1
少年法61条と表現の自由について。評価42011/10/17