文春新書
中国の隠者

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  • サイズ 新書判/ページ数 238p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166601592
  • NDC分類 282.2
  • Cコード C0223

内容説明

老荘から竹林の七賢、陶淵明、李白、呉中の四才、清代の袁枚まで、風狂の限りを尽くした男たちの羨ましい人生。敗れざる者たちの中国史。

目次

隠者のルーツ―伝説の許由から儒教と対峙する道家思想の祖、老荘まで
東方朔―才能を持ちながら生涯「滑稽」として漢武帝に仕える
竹林の七賢―酒を酌み清談に耽った七人が辿るその後の数奇な運命
東晋の風狂貴族―乱世を生き抜く貴族の中から「書聖」王義之は生まれた
葛洪―神仙思想を体系化した人物はじつは文武両道だった
陶淵明―日本にもファンの多い田園詩人の貧しさと自足の生
李白―人間界に流された仙人とも称された大才の「聖と俗」
林逋―ひたすら隠遁し、梅を妻、鶴を子、鹿を召使いとする
米逋―「フーテンの米」とあだ名された奇人の抱腹絶倒人生
白仁甫―モンゴル王朝への出仕を潔しとしなかった元曲作家
徐渭―愛妻の死後、天才が現世に翻弄され狂気に至るまで
徐霞客―母の庇護のもと山野、秘境を憑かれたようにした旅
明末の快楽主義者―時代の滅びをよそに自己の趣味に忠実に生きた三人
八大山人―清王朝への隷属を拒否し、出家までした画家の孤高
袁枚―役人生活より手がけた庭園での生を選んだ怪物隠者

著者等紹介

井波律子[イナミリツコ]
1944年富山県生まれ。66年京都大学文学部卒業。72年同大学院博士課程修了。95年4月から国際日本文化研究センター教授。中国文学専攻。著書に『酒池肉林』(講談社現代新書)、『中国のグロテスク・リアリズム』(中公文庫)、『中国文章家列伝』(岩波新書)、『中国幻想ものがたり』(大修館書店)など
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

104
権力を得ることよりも自分の資質に忠実に生きようとした人物たちを紹介する新書。隠者たちの生き方も面白いが、それ以上に覇者が次々と変わる中国の歴史に興味を感じた。南北朝時代や五代十国の時代には多くの国が建てられるので、読んでいて頭が混乱しそうになる。このような混乱した社会では、自分をしっかり保っていないと生きにくいだろう。文学や絵画など隠者たちは自分が長じた分野を持っており、それを核にして生きた。明末の徐霞客の生き方が面白い。彼は混乱した社会に背を向け、中国各地を走破して旅行記『徐霞客遊記』を残した。2018/04/25

Tonex

47
この本で紹介される隠者は、単なる世捨て人ではなく、「烈々たる気迫をこめて、不本意な現実を否認し、自ら隠遁という生存様式を選び取った人」ばかり。著者によれば、古代・中世の隠者は「自然・田園型」の悠々自適派が多かったが、時代が下るにつれ、市井に生きる「都市型」に移行したという。近世の都市型隠者は、売文・売画などで生計を立てるケースが多かった。清代中期の袁枚(えんばい)は貧しい生まれながら科挙に合格して一旦は官僚社会に身をおくが30代でさっさと引退してベストセラー作家になり豪奢な邸宅で贅沢な生活を送った。2016/06/26

崩紫サロメ

18
井波先生が亡くなられて、今も悲しくてたまらないけど、とりあえず再読。ここで取り上げられている「隠者」の多くが時代の転換期に行き、外圧に屈することを潔しとせず、自ら進んで現実の舞台から降りて隠遁生活に入っている。「意気軒昂として現実社会から下り、強靱な反発精神を持続させながら、逸脱の人生を送る彼ら」、そういう人々を「隠者」と定義し直しているあたり面白いな……。2020/10/22

蛭子戎

3
中国において古代から俗世間の権力から逃れ隠遁する文化人は絶えなかった。本著は古代から近代にかけて16章でそれらの人物を紹介していく。深く内容を掘り下げるというよりはウィキペディアをひたすら読んでる感じ。興味が湧いた何人かはメモって彼ら個別に書かれた本に当たる予定。そんなふうにガイドブックとして使うと便利だろう。2017/02/03

Tonex

2
ここで紹介されている隠者は超一流の文化人や反骨の奇人変人ばかり。もっと気楽にのんびり生きた隠者のエピソードを読みたい。2014/12/14

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