内容説明
たとえ脳死と宣告されても、心臓が鼓動をきざみ、肌は温かいのに治療を止めるのは忍びない。他方、一日千秋の思いで臓器の提供を待ちわびる患者たち。その両者の立場と痛みを知る著者はまた、日本における、いわゆる脳死立法の波乱の十余年を終始ウォッチし関わってきた。法の見直しが叫ばれる今、改めて、一九九七年に制定された臓器移植法の理念と、その成立までの対立点を明確にし、真の患者のプライバシーとは何か、日本人の死生観とは何かを問う。
目次
序章 ドナーカードを書く前に
第1章 脳死立法までの道のり
第2章 「死体」という言葉
第3章 参議院での逆転
第4章 家族を失うということ
第5章 情報開示とプライバシー
第6章 法の見直しについて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
23
人の体はパーツごとに治療できるものではない。まして死の定義となると、脳が死んだからといって納得してその方を諦めきれる人がどれだけいるだろう。移植を待つ身になってみろという声もあるだろうが、その身はなお温かいのだ。あなたの大切な人だったら。自分だったら。辛い問題ではあるけれど、一度とことんまで考えるのは必要なことだ。2013/09/20
lily
2
臓器移植法が制定されて3年目に書かれた脳死臓器移植への問題提起。臓器移植は、再生医療が活発化するまでの「つなぎの医療」として容認されても良い。しかし、厚労省丸抱えの日本臓器移植ネットワークの宣伝や移植医療従事者にとっての目的は「脳死は一律に人の死」にすることであろう。改定臓器移植法が制定されて数年経つ。社会の現状は、今一度この問題を再考することを促している。最近この分野の本読みすぎて頭痛くなってきた。。2017/01/30
kotan
1
脳死者からの臓器移植に際して、遺族への配慮から、遺族の合意が不可欠と考えられているように感じたが、それは脳死者の自己決定権を脅かすものではないだろうか。2010/10/15
あま
0
最新の臓器移植法の内容ではないけれども。。 前知識がなかったので、法律内容や制定のあたりの話は読んでてよくわからなくなる部分が多かったのですが、脳死は死なのか、という問いかけについてわかりやすく筆者の意見が書かれていて読みやすかった。2013/07/02
ムーナナ
0
心臓が動いていて、体温を感じられて、脳は動いていない……これで「死んだ」と言えるのか?2010/11/05
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