出版社内容情報
両国の歴史観を巡る最大のギャップ──日韓併合。なぜ併合は起こらざるを得なかったのか。日韓最後のタブーに正面から挑戦する!
内容説明
韓国併合へといたる道は朝鮮近代敗北の歴史を意味する。なぜ敗北したのか、その自らの側の要因と責任の所在を真摯に抉りだす作業が、韓国ではいまだになされていない。戦後の韓国で徹底的になされてきたことは、「日帝三六年」の支配をもたらした「加害者」としての日本糾弾以外にはなかったのである。本書は、日本に併合されるような事態を招いた韓国側の要因を、その国家体質・民族体質を踏まえながら、歴史的な事件とその経緯のなかから究明していこうというものである。
目次
第1章 李朝末期の衰亡と恐怖政治
第2章 朝鮮の門戸を押し開けた日本
第3章 清国の軍事制圧と国家腐敗の惨状
第4章 独立・開化を目指した青年官僚たちの活躍
第5章 一大政変の画策へ乗り出した金玉均
第6章 夢と果てた厳冬のクーデター
第7章 国内自主改革の放棄
第8章 新たなる事大主義
第9章 民族独立運動と日韓合邦運動の挫折
終章 韓国併合を決定づけたもの
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おらひらお
10
2000年初版。韓国併合へ到る過程には、様々な要因が重なり合っていたことを再確認。帯にあるように、原因が日本OR韓国というような二者択一では語れないことは確かです。ただ、これまで読んできた本は、一方的に日本=悪者、韓国=被害者というものばかりだったので、李朝末期の政治体質などに触れた本書は、ある意味新鮮でした。この本が文春新書でなく岩波新書で刊行できていたなら、もっと面白いのですが・・・。無理ですね。2011/11/22
MIKETOM
8
朝鮮が生き残る道があったとするなら近代化と富国強兵以外にはなかったはず。しかしながら朝鮮はその道を自ら閉ざしてしまった。あくまで清に対する事大主義を貫き、清がダメならロシアに事大し、自らの足で立つよりも寄らば大樹に拘泥する。開国改革派を弾圧しその首謀者を暗殺することによって自らの首を絞め、福沢諭吉に脱亜論を書かれてしまう。現代でも「最悪のタイミングで最悪の選択をする国家」などと言われているが昔からそうだったようだ。併合後を知りたい人は黄文雄『朝鮮半島を救った日韓併合』を読むことをお薦めする。2023/03/27
Miyoshi Hirotaka
8
四方を海に囲まれた防御力は近代までわが国を守り、好みの異国文化をアラカルトで導入したり、戦争が嫌なら鎖国したりという幅広い選択肢を提供した。ところが、中国と陸続きの朝鮮半島の王朝はその選択ができなかった。日本が倒幕という荒治療をしたのに比べ、李王朝の対応は緩慢、対外的には「洋夷」、内部的には体制維持、さらに、日本からの情報提供も黙殺と、徹底して変化を拒んだ。日韓併合は中国、ロシア、日本、アメリカ、イギリスの意図や世界情勢の読み違えの結果だ。「日帝36年」という被害者史観にはこの視点がない。2013/03/07
シン
5
このあたりの歴史の勉強はもっとちゃんとしておかねばと思ってはいるのだが。2007/03/30
atonsh
4
地政学的な見地から日本、中国、ロシア、西欧列強の思惑が交差していた近代史における朝鮮半島。その歴史の流れを追い重大事件の意図を知ることはとても楽しいものであった。当時の東アジアは列強の進出によって近代化が必要不可欠であり朝鮮においても例外ではなかったが、朝鮮(韓国)は自力で近代化できる力がなく、いったん外国の保護下に入るしか道はなかったのだ。併合は日本の都合だが韓国としても必要なものだったのかもしれない。また本書によって現代にも通ずる朝鮮人の伝統的な民族性や価値観を窺い知ることができた。2011/02/28