出版社内容情報
古典文芸から古来の病いを拾い、日本最古の医学書『医心方』などを軸に、上代から鎌倉時代までの医術と健康法を明かす画期的論考
内容説明
菊池寛賞を受賞した古代医学の第一人者が、眼病や歯痛、胸の患いから性医学まで、古典文芸に描かれた病気の正体をさぐり、古代の医学書などを軸に当時の医療と健康法をあかす。万葉歌人の頼った医術、『土佐日記』に見る食養生、清少納言の病の美学、『源氏物語』の“もののけ”治療、兼好法師の食養生etc。さらには首吊り自殺や溺死の蘇生法、薬物中毒の解毒法など、古代救急法にも触れた刺激的な労作。
目次
古代人を癒したもの―「上代・奈良時代」
美意識と病いと因果応報―「平安時代」前・中期
雅のかげに病いあり―「平安時代」後期
中世人の健康管理―「鎌倉時代」
古代の救急法
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bluemint
7
とても興味深かった。日本書紀以降の文献に記された様々な症例がそのまま現代の病名に一致するかどうかは定かではない。治療法は主に古代中国から伝わった医術書を原典としていたようだ。ほとんどがデタラメとしか思えないが、病気の予防にも記述を割いており、ここは同意できるものだった。怪しい薬を飲まされるなら、どうせ効かないだろうけど加持祈祷の方が良いと言う宮中の女官の本音も納得できる。2020/09/14
湯山雅史
3
古典文芸に出てくる病気とその治療法が詳解されている。 特に古代の救急法は、蘇生法や有毒ガス中毒など興味深い内容でした。2015/01/24