出版社内容情報
女帝も養子も認めない現在の制度では、このまま皇室に男子が生まれなければ、皇位継承者はいなくなる。「万世一系」の危機なのだ──
内容説明
もし、このまま皇室に男子の誕生がなければ、やがて皇位継承者がいなくなるかもしれない。現在の憲法、皇室典範では、女性天皇を認めていないし、皇族が養子を迎えることも、一度臣籍に下った旧皇族が復籍することも、認められていない。親王の誕生を祈ることは勿論だが、それとは全く別に、皇室典範の根本的なディレンマを解消すべきなのだ。
目次
序章 皇位継承の危機
第1章 「万世一系」はいかに保たれたか
第2章 「女帝」出現の意味
第3章 『皇室典範』の成り立ち
第4章 御側女官の役割
第5章 昭和天皇の苦悩
第6章 新『皇室典範』のディレンマ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
164
皇位継承について真剣に考えられた1冊。このころから悠仁親王殿下が誕生されているが皇室典範改正などは一切されていないまま今日まで迎えてしまったが、今後皇室はどうなるのだろうか?2015/01/27
梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
4
所氏は政府の諮問に有識者として意見を述べる立場にあった。それ故、この本の最後の方で述べられている、現代の皇位継承に関する見解は生々しい。皇室ウオッチャーは必読だ。ただし、本の最初半分くらいまでの明治帝までの皇位継承の記述を読むのはしんどかった。kindleで読了。2019/04/15
謙信公
4
日本の国体にかかわる難しい問題だ。2000年続いた世界でも類を見ない皇統である男系を守り続けるのは、必要だ。フェミニズムに惑わされた男女平等などという次元とは別のモノだろう。くだらない論議だ。天皇制の破却を目指したGHQの思惑が、今になって効いてきている。悠仁親王がおられるとはいえ、将来の継承者のことを考えると、やはり、旧宮家の復活が最良の解決方法かな?2016/08/22
ばのっち
2
「生前退位」報道の直後に、図書館で見かけて借りた。 変えてきたもの。 欧州列強の制度も十分研究した上で、旧皇室典範において、伊藤博文の意向により生前譲位の道を閉ざされたこと。 昭和天皇が“宮中に上がってから外に出ることもなく、一生を終える女官たちに教育は任せられない”として母(貞明皇后)の意向に反して女官制度の改革を進めたこと。 守ったきたもの。 「女帝」は一代限り、ピンチヒッター的に認められてきたものだという。 宮家の数を減らし、側室も廃止され、一方で男系男子の伝統だけを残すことができるのか。2016/07/21
非常用ドアコック
2
皇位継承に関する本は色々あるが、どうしても著者の思想に偏った初めに結論ありきの本が多い中、純粋に皇位継承の歴史と明治の皇室典範の成り立ちから成立後の運用、課題、戦後の改正の問題点まで、皇室典範義解等の一級資料を読みときながら解説している。この本を読むと、如何に綱渡りで皇統が紡がれて来たかが分かる。思想的な立場はともかく、天皇制を考える上で読んでおいて損はないかと。ただ、前半の歴史部分は少し読み辛い。付録の系図と参照しやすければよかったのだが。