出版社内容情報
向田邦子の若き日の恋愛を、死後発見された恋文により妹の和子が明らかにする「向田邦子の恋文」。そして急死のおよそ2年前に書かれた遺言。
目次
向田邦子の恋文(向田和子)
向田邦子の遺言(向田和子)
鼎談、インタビュー(素顔の向田邦子(植田いつ子;向田せい;向田和子)
『想い出の作家たち』より(向田せい)
わが家の家風(向田せい))
書簡、詩、メモなど
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あいくん
9
☆☆☆☆向田邦子さんが亡くなったのは51歳の時ですが、妹の和子さんはそのとき42歳でした。9歳離れています。20年前のこと、鹿児島市が近代文学館をつくるので、遺品の提供を求められます。鹿児島は向田邦子さんにとって「故郷もどき」とよばれる土地です。平成10年にかごしま近代文学館がオープンします。かごしま近代文学館には「向田邦子の部屋」があります。ここにいくと向田邦子さんの世界を見ることができます。和子さんは父親の思い出も語ります。 給与が手渡しだった頃、父親は給料袋の封を切らずに母親に渡していたそうです。2018/05/08
ぐうぐう
9
『向田邦子の恋文』と『向田邦子の遺言』を収録した全集別巻2。ここには、私達が知らない向田邦子がいる。邦子のN氏へ宛てた手紙と、邦子との日常を綴るN氏の日記には、お互いの感情の吐露はほとんど見られず、伝言と言った事務的な項目、出来事の羅列といった記録的側面が強い。にも関わらず、二人の想いが痛いほどに伝わってくるのだ。それは、この二人が強い絆で結ばれていたゆえだろう。邦子が家族へ宛てた遺言にも、同じようなことが言える。言葉の裏側や、行間の隙間から、感情が滲み出てくる。(つづく)2010/12/19
たつや
7
新事実、向田邦子は不倫をしていた。向田邦子の没後に手紙やら、日記で判明した。相手のN氏はカメラマンで、後半は大病を患い、寝たきりに近かった様だ。何処か、見てはいけないものを盗み見るようで、罪悪感に苛まれた。ただ、手紙には「昨夜は食べ過ぎて、お腹がピーです。」等と、呑気な内容も多いので救われた。また、向田邦子自身も乳癌を患ってたんですね。変な話、飛行機事故にあって無くても、寿命だったかも?その他、遺言による財産分与とか、込み入った話しまで収録されている。放送作家はドラマが再放送されると、お金が入るんですね。2025/02/23
いぼいのしし
6
黒柳徹子さんの本で興味を持って読んだ。家族には秘密だった自殺した恋人の日記と、手紙やり取りが収録させている。まわりの人への気配りが凄く人柄が感じられた。世話を焼くのが好きな典型的な長子気質だったようだ。向田家の皆が邦子に精神的にも経済的にも頼っていた印象。2018/02/07
すいれん
3
恋文は文庫で読んでいたのでインタビューや鼎談、書簡をメインに読む。「父の詫び状」が向田家に巻き起こした騒動や航空機事故で急逝したあとの家族の混乱、恐慌。的確な指示がただただ凄い。出した手紙を相手に遺されて、手元に返ってきて処分できなくて。さらに遺品を開封するまで20年近くかかったことが一番心に突き刺さった。「命あるものを最優先すべし」は遵守したい。テレビの上の「遺言」。あの勢いのあるスピーディーな字はそうそうお目にかからないです…。2019/06/07