内容説明
直木賞受賞作をふくむ傑作短篇集。小説13篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
29
一度、向田邦子を読みたいと思い、図書館で「あ・うん」を借りようと行ったら貸し出し中だったので、初めての向田作品は何にしよう?悩んだ挙句、全集の1巻ほかをチョイス。とても読みやすく、よかったです。タイトル通り、13篇の短編をシャッフルしたということでしたので、順番を気にせずに気分で読みました。でも、若くして亡くなられたんですね。もったいない感じです。この才能が・・・。今の私より、数歳年上で、亡くなっているので、そう言う意味では近く感じます。こういうサバサバしたお姉さんが身近にいたら頼もしく、懐かしく感じます2016/07/18
ぐうぐう
16
優れたシナリオライターが、優れた小説家であるとはかぎらない。でも向田邦子の『思い出トランプ』を読んでいると、その一般的な常識が覆される快感を覚える。トランプのカードを模した13の短篇は、見過ごしてしまう、または目を逸らしてしまいがちな人間の邪さや弱さや悪意が描かれている。しかし彼女はそれを直接的なエピソードとして書こうとはしない。はめ殺しの窓や、眉の形、花の名前から、象徴的に滲ませていく。脚本家としてのユニークな着眼点が、繊細で豊穣な小説として開花した、これはロイヤルストレートフラッシュ級の短編集だ。2009/06/10
chacha
14
テレビで向田邦子没後40年特別企画を観てから読んでみたくなった。ドラマの脚本家で知られているけど文として読んだことがあまりない。昭和の55~56年頃に書かれたものが集められた1冊。出てくる言葉や場面はちょっと古臭く感じたりするが 人が表立って言わない内面のとこれは書かないでおこうと思うようなことが言葉にされている。さらりと書く余計なものをそぎ落としたように書く 怖いけど上手いと思わせる。二巻も読んでみよう。2021/12/01
量甘
9
普通に暮らしている人たちの隠れた内面を見せつけられたようで、ドキッとした。昭和の匂いが漂う情景。懐かしいような寂しいような気持になった。『マンハッタン』『大根の月』『ダウト』が印象深かった。2017/10/27
seeds
8
登場人物の抱える人間臭さを短い文章で表現するのが非常にうまい人だと思った。ながながとした説明はない潔さが感じられる。 小川糸さんが大好きな作家としてエッセイであげていたことをきっかけにこれから全集を読んでいこうと思います。1巻は思い出トランプ、主に不倫がテーマの短編集でした。2020/07/14