出版社内容情報
司馬文学に新しい光をあてる豊かな短篇小説の世界
いよいよ『梟の城』で直木賞受賞、作家・司馬遼太郎の大活躍がはじまる1960年に発表された12篇を収録。単行本未収録作4篇を含む
内容説明
いよいよ『梟の城』で直木賞受賞、作家・司馬遼太郎の大活躍がはじまる一九六〇年に発表された12篇を収録。単行本未収録作4篇を含む。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
大正12(1923)年、大阪市生れ。大阪外国語学校(現・大阪外語大)蒙古語科卒業。昭和35年、「梟の城」で直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院恩賜賞受賞。56年、日本芸術院会員。57年、「ひとびとの跫音」で読売文学賞受賞。59年、新潮日本文学大賞学芸部門賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大仏次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。5年、文化勲章受章。8(1996)年2月12日逝去
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
44
新選組血風録の作品が多かったので前にさかのぼって少し毛色の違う作品を読んでみました。こちらのほうが忍者ものなどで読んでいても楽しめます。以前ほかの本でも読んだことなどがある作品が多いのですが、エンターテイメント系ですね。2015/02/26
kawa
30
浪速の武士の地位や権威は、町人らに比べて思いの外、ひくかったようだ。そんな雰囲気に焦点をあてた幕末の物語、鰻谷の気儘人が主人公として何人も登場、ご当地風の独特の味付け(本書と関係なしですが、大阪には「鰻・バター載せ握り鮨」があるそうな)興味深くも面白い。直木賞受賞の頃、いわばジャンプ寸前の司馬先生の古代・中世・近世の歴史物語、そして現代までをもカバーする短編集。2022/09/01
ジャズクラ本
11
再読◎執筆は1960年代の作品群。2巻までに折々見られた現代小説はこの後書かれることがなくなり、歴史物、しかも国内に限られたものになっていく。「壬生狂言の夜」といった幕末物も表れ始める。ただ、後年におもな主題となっていく人間の矜持を描いた作品はこの時期にはまだ少なく、儚い余韻を残すものや幻妖的なものが多い。個人的にこの巻は「みょうが斎の武術」と「けろりの道頓」が抜きん出ていると思う。唯一の現代小説である「ある不倫」は司馬らしくない作品の筆頭。世間の評価が良いとは思えないが嫌いではない。2015/09/01
AR読書記録
9
やっぱ司馬さん大阪好きやねんなーとか、規範の外にある「気儘」に惹かれはんねんなーとか思いながら読んでいたが、自分のなかでかためつつあった感想全て、最後の『牛黄加持』で吹っ飛んでいった。こいつぁどこの山田風太郎さんですか。いや何に例えれば一番ええんかわからんけども。まあ具体的方法は措くとして、仏教が政治が生々しく絡み合っていた様子とか、どういう位置付けのものだったかという点で面白いなあとは思いますけども。にしても「むせぶがごとく撫でよ」とかいう台詞、よう思いついたな... どこを撫でよかは読んでください。2016/05/22
がんぞ
6
本格的に作家デビューした翌年の昭和35年、長編『上方武士道』『風の武士』(ともに週刊誌)、『戦雲の夢』(月刊誌)、中編現代もの推理小説『豚と薔薇』(週刊誌6回連載)を発表しつつ、この12編を書いた(ほか第1巻の同人誌時代の作品も商業誌披露)/倒幕と恋愛感情を関連させる『丹波屋の嬢さん』『みょうが斎の武術』『壬生狂言の夜』『黒格子の嫁』。『外法仏』『牛黄加持』は仏教知識(密教関連)を活かした。明治維新(あるいは類似して関ヶ原など)を転機に一変した道義=ライフスタイルというテーマが多いが、やがて昭和維新を追求2017/06/05