出版社内容情報
国際駅伝に賭ける男と復讐を誓う女が交錯する「詩城の旅びと」。エイズが蔓延する近未来を描いた「赤い氷河期」。解説・菅野昭正
内容説明
ヨーロッパへの深い関心を示す重厚なサスペンス二作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
52
その①…「詩域の旅びと」探してもレヴュー無きに等しい。読んだら解る。さすがの私にでもアラが目立つ。巨匠!?どうされたんですか?と。半ば迄 温和なプロバンス情景 やけに空回りする新聞社メンバー、小難しき現地上層との折衝話。一転しての悲劇舞台に!呆然 更に不快感(赤い髪…レベル)一通の投書から…てな展開はあるあるネタだが通子の人間性は偏執的。狂気帯びた貴族も大時代的。その秘書に即採用の非現実性。過去を上手く潜り抜け 仏で再々生活したいあの2人に神が微笑むとは。口あんぐり。美術史教養の学びにはなるかも2025/01/20
キムチ
48
②赤い氷河期:筆者にしては珍しい近未来小説。連載時が1988年という事は国内エイズ患者がぽつぽつの時間だったろう。独 シュタルンベルグ湖で発見された首なし死体から幕が開く。専ら話を引っ張る山上は国際的機関の課長。そこに絡む福光、料理店マダム亮子、後半登場のスイス人骨董店マダム、調査局長ハンゲマン等。「黒死病」に対比さすべく「赤い・」と標題をつけたとある。ジワ~っと蔓延に予想を感じさせるエイズのこれからに切り込みいれた意欲は凄いけれど、支離滅裂すぎて後半以降はついて行くだけで必死。資料駆使の跡は見えるものの2025/01/22