内容説明
知りたくなかった。あの良い人の“裏の顔”だけは…。ストーカー化した元パートナー、マタハラと痴漢冤罪、技能実習制度と人種差別、SNSでの誹謗中傷・脅し…。リタイアした元刑事の平穏な日常に降りかかる事件の数々。身近な人間の悪意が白日の下に晒された時、捜査権限を失った男・平良正太郎は、事件の向こうに何を見るのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
260
★第173回直木賞候補作第五弾(5/6)です。芦沢 央は、新作中心に読んでいる作家です。 本書は、刑事OB嘘イヤミス連作短編集でした。オススメは、「かくれんぼ」&「最善」です。 本書は、文藝春秋刊ではありますが、短編集のため、直木署の予想は、ステイです。 https://bookmeter.com/mutters/283220658 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639197132025/06/20
いつでも母さん
161
定年退職した刑事・平良正太郎が探る連作短編5話。どれもいや~な感じの読後感(褒めてます)特に4話目『最善』と表題作の5話目がなんともイヤだ。「地獄は始まるあなたの隣の悪意から」と帯にあるが、あれこれ考えだしたら家に閉じこもって、誰とも関わりたくないなぁ・・なんて読後感。ただ、探偵・綺羅とコンビでまた会いたい。2025/05/28
美紀ちゃん
159
退職した元刑事は、習慣で推理しちゃうのだと思う。それが的を得ていて、怖いくらい繋がっていき、実はそんなことが!とびっくりな展開になっていく。面白かった。自己保身のために嘘の自供をする被疑者。 それによって初動が遅れ捜査が困難になるというのは、よくある話なのだろうか? さすがに平良正太郎さんは、退職しているので、捜査はしないが、困っている人の話を聞きながら、長年の警察官としての推理力を働かせる。 吉羅平良コンビで続編を期待したい。2025/05/21
のぶ
151
定年した刑事を主人公にしたミステリー短編集で、隣人や知り合いの不可解な謎を解決するといった内容の一冊。誰も、何も、気づかなかったらそのまま終わっていく事件たちの、その裏側にある「嘘」を見つけてしまうのは元刑事ゆえ。刑事時代に遭遇した事件との接点、そこから見えてしまう隣人たちの嘘。「事実」だけで終わったはずの事件の、その真実があらわになったときの暗い悲しみ。知らなければよかった、気づかなければよかった。そんな嘘が込められている5つのお話。2025/05/12
タイ子
149
定年退職した元刑事のもとに本人の意思に関係なく何かしらの事件や相談事が持ち込まれる。平良正太郎、彼が第三者の立場で見聞きしながら推理する5つの連作短編集。どれも日常に起こり得る事態を当事者は軽く片付けたつもりでも、それが関係者にとっては大きな事故や事態になるという何だかゾワリとする話。正太郎の刑事魂は未だ消えず、何とか打開策をと思ううちに昔の事件の記憶が蘇り、現在の事件と重ねながら時には今更ながらに過去の真実が見えてくるのも面白い。最後に正太郎の仕事が決まりそうな雰囲気なのは、続編を期待していいのかな。2025/05/05