内容説明
知りたくなかった。あの良い人の“裏の顔”だけは…。ストーカー化した元パートナー、マタハラと痴漢冤罪、技能実習制度と人種差別、SNSでの誹謗中傷・脅し…。リタイアした元刑事の平穏な日常に降りかかる事件の数々。身近な人間の悪意が白日の下に晒された時、捜査権限を失った男・平良正太郎は、事件の向こうに何を見るのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
297
★第173回直木賞候補作第五弾(5/6)です。芦沢 央は、新作中心に読んでいる作家です。 本書は、刑事OB嘘イヤミス連作短編集でした。オススメは、「かくれんぼ」&「最善」です。 本書は、文藝春秋刊ではありますが、短編集のため、直木署の予想は、ステイです。 https://bookmeter.com/mutters/283220658 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639197132025/06/20
馨
221
受賞を逃したのは残念でした。定年退職した元刑事が主人公の連作短編。マタハラ、外国人技能実習生、痴漢、抱っこ紐外し、ストーカー、SNS等テーマが今の時代を反映していました。どの話も犯人のどんでん返しあり、読みやすく続きが気になりあっという間でした。表題作が尻すぼみな気がしました。芦沢さん作品は、大体犯人側が主人公でその心情がバレることにハラハラさせられることが多いですが、今回は推理側目線で真犯人の心情は描かれず、こちらが勝手に想像を膨らませながら読むのもまた楽しかったです。2025/07/23
hiace9000
191
聞き覚えのある”平良正太郎”の名を検索すると、『夜の道標』のあの刑事と判明。彼の定年退職後、隣人や私事に関わる日常の些細な出来事やトラブルにまつわる「嘘」を芦沢風に味つけし、確かな面白味で読ませる連作五短編。瞬時の判断や思いつきが人につかせる”嘘”、そこに隠されたエゴ、都合、悪意、あるいは思いやり…諸々が波紋を広げ連鎖するバタフライ効果的事件—このイヤミス感こそ、芦沢筆の真骨頂。『汚れた手を…』でも抉り描いた、チラリと垣間見える人の内面や裏の顔を、時代背景により溶け込ませながら鮮明に浮き彫りにしていく。2025/07/14
のぶ
184
定年した刑事を主人公にしたミステリー短編集で、隣人や知り合いの不可解な謎を解決するといった内容の一冊。誰も、何も、気づかなかったらそのまま終わっていく事件たちの、その裏側にある「嘘」を見つけてしまうのは元刑事ゆえ。刑事時代に遭遇した事件との接点、そこから見えてしまう隣人たちの嘘。「事実」だけで終わったはずの事件の、その真実があらわになったときの暗い悲しみ。知らなければよかった、気づかなければよかった。そんな嘘が込められている5つのお話。2025/05/12
hirokun
180
★4 警察を定年退職した男性を主人公にした連作?短編集。どの作品も読後、嫌な気持ちが残る推理小説というものなのだろうが、何となく設定にユニークさを感じた。私はこのタイプの推理小説も好きだ。分かり易い文章であり、内容にもひかれて一気読み。年齢とともに長編作品を読破するのに苦労する様になってきた。2025/05/20
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