出版社内容情報
「どうしても、直木賞が欲しい」
賞(prize)という栄誉を獰猛に追い求める作家・天羽カインの破壊的な情熱が迸る衝撃作!
?あらすじ
天羽カインは憤怒の炎に燃えていた。本を出せばベストセラー、映像化作品多数、本屋大賞にも輝いた。それなのに、直木賞が獲れない。文壇から正当に評価されない。私の、何が駄目なの?
……何としてでも認めさせてやる。全身全霊を注ぎ込んで、絶対に。
内容説明
天羽カインは憤怒の炎に燃えていた。本を出せばベストセラー、映像化作品多数、本屋大賞にも輝いた。それなのに、直木賞が獲れない。文壇から正当に評価されない。私の、何が駄目なの?…何としてでも認めさせてやる。全身全霊を注ぎ込んで、絶対に。業界震撼の“作家”小説!
著者等紹介
村山由佳[ムラヤマユカ]
1964年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。93年『天使の卵 エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞、09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞・島清恋愛文学賞・柴田錬三郎賞、21年『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
535
直木賞をめぐる攻防を、エンターテインメントに徹して描いた作品。主人公の天羽カインのモデルは、こんなに激しくないだろうと思うが、おそらくは作家自身だろう。相手役の千紘にもモデルがありそうだ。出版社はすべてこれ実名。登場する作家たちも、一応は変名になってはいるものの、軽井沢在住の馳星周や小池真理子、藤田宜永 などは誰の目にも明らかである。おそらくは、彼らの実像もあれに近いのだろう。また、作家と編集者、あるいは書店との関係もおおよそあんなものなのではないだろうか。天羽カインは、徹底して直木賞に執着するのだが⇒2025/06/29
starbro
407
村山 由佳は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は半分私小説でしょうか、直木賞作家の著者で文藝春秋社刊だから書ける内容、直木賞くれくれお化け小説家物語でした。直木賞の選考過程や出版業界の内部事情が解る、読書家には楽しめる作品となっています(笑) 作中作「テセウスは歌う」を読んでみたい。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639193002025/01/21
さてさて
398
『直木賞が欲しい。他のどの賞でもなく、直木が』。そんな思いの一方で『ベストセラーリストの一位に長く君臨する』状況に悩みを深める天羽カイン。この作品にはそんなカインが”どうしても、直木賞が欲しい”という思いの先に担当編集者の緒沢千紘と突っ走っていく姿が描かれていました。『直木賞』のあんなことこんなことがよく分かるこの作品。一つの小説が誕生する舞台裏にどのような葛藤があるかもよく分かるこの作品。ええっ!そんな風に展開させるの!とあっと驚くまさかの結末に、村山由佳さんの上手さを改めて感じた素晴らしい作品でした。2025/01/08
青乃108号
385
作家と編集者がいかにして1冊の文芸作品を作り上げていくのか。そして直木賞とは何か。それらが非常に理解出来る本。直木賞ノミネートの常連でありながら毎回受賞を逃してきた女流作家の、怨念に満ちた物語。人としてどうなのかと言わざるを得ない彼女の言動。(何故か最初から俺の脳内ではマツコ・デラックスに変換されてて、いや絶対違うのだがそれは最後までマツコのままで辟易したのだが)そんな彼女に尽くす編集者の、彼女に対する執着、恋に似た感情。奥付に編集者の名前が記載されない本が大多数な事に、疑問を感じざるを得ない。理不尽だ。2025/08/24
R
318
小説の賞レース、そこへの渇望と行動を描いているのだけど、内容は承認欲求という浅はかなそれのように見せかけて、何をプライズとするかというお話だったように思うのだが、とりあえず登場人物が全員身勝手で凄かった。主人公が結局、反省しないけど成長しているというのが稀有だと思うのだが、根っこは変わっていないので人間性とはそういうものだとも読めるのがよいところ。小説業界と呼んでいいのか、その仕事のあれこれが楽しく、編集者と小説家の関係が興味深くて良かった。2025/05/05