センスの哲学

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  • サイズ 46判/ページ数 256p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784163918273
  • NDC分類 701
  • Cコード C0095

出版社内容情報

服選びや食事の店選び、インテリアのレイアウトや仕事の筋まで、さまざまなジャンルについて言われる「センスがいい」「悪い」という言葉。あるいは、「あの人はアートがわかる」「音楽がわかる」という芸術的センスを捉えた発言。
何か自分の体質について言われているようで、どうにもできない部分に関わっているようで、気になって仕方がない。このいわく言い難い、因数分解の難しい「センス」とは何か? 果たしてセンスの良さは変えられるのか? 

音楽、絵画、小説、映画……芸術的諸ジャンルを横断しながら考える「センスの哲学」にして、芸術入門の書。
フォーマリスト的に形を捉え、そのリズムを楽しむために。
哲学・思想と小説・美術の両輪で活躍する著者による哲学三部作(『勉強の哲学』『現代思想入門』)の最終作、満を持していよいよ誕生!


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 さて、実は、この本は「センスが良くなる本」です。
 と言うと、そんなバカな、「お前にセンスがわかるのか」と非難が飛んでくるんじゃないかと思うんですが……ひとまず、そう言ってみましょう。
「センスが良くなる」というのは、まあ、ハッタリだと思ってください。この本によって、皆さんが期待されている意味で「センスが良くなる」かどうかは、わかりません。ただ、ものを見るときの「ある感覚」が伝わってほしいと希望しています(「はじめに」より)。
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◆著者プロフィール
千葉雅也(ちば・まさや)
1978年栃木県生まれ。東京大学教養学部卒業。パリ第10大学および高等師範学校を経て、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コース博士課程修了。博士(学術)。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(第4回紀伊國屋じんぶん大賞、第5回表象文化論学会賞)、『勉強の哲学――来たるべきバカのために』、『アメリカ紀行』、『デッドライン』(第41回野間文芸新人賞)、「マジックミラー」(第45回川端康成文学賞、『オーバーヒート』所収)、『現代思想入門』(新書大賞2023)など著書多数。

内容説明

これは「センスが良くなる本」です。というのは、まあハッタリだとして、ものを見るときの「ある感覚」を説明したいと思います。生活と芸術をつなぐ万人のための方法。

目次

第1章 センスとは何か
第2章 リズムとして捉える
第3章 いないいないばあの原理
第4章 意味のリズム
第5章 並べること
第6章 センスと偶然性
第7章 時間と人間
第8章 反復とアンチセンス
付録 芸術と生活をつなぐワーク
読書ガイド

著者等紹介

千葉雅也[チバマサヤ]
1978年栃木県生まれ。東京大学教養学部卒業。パリ第10大学および高等師範学校を経て、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コース博士課程修了。博士(学術)。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。『動きすぎてはいけない―ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(第4回紀伊國屋じんぶん大賞、第5回表象文化論学会賞)、『デッドライン』(第41回野間文芸新人賞)、「マジックミラー」(第45回川端康成文学賞、『オーバーヒート』所収)、『現代思想入門』(新書対象2023)など著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

112
タイトルは「センス」であるが、むしろ芸術論として読む方が適切かもしれない。物事をリズムとして脱構築的に楽しむのがセンスであり、芸術への向き合い方として、意味からリズムへという方向性を示唆している。リズムに含まれる予測誤差や偶然性や反復性の中に、芸術の神髄があるのだと。難しい概念を平易な言葉で説明するというのが千葉先生の特色ではあるが、本書でも、美的と崇高的の違いなど、曖昧な定義に基づく断定的な説明に、当惑を禁じ得ないというのが正直なところ。私の読解力の乏しさが原因だとは思うが、やっぱり、この先生は苦手だ。2024/06/11

けんとまん1007

81
とりあえず一読。もちろん、そんなに簡単に腑に落ちる訳はない。それでも、なるほどなあ~と思ったことの一番は、リズムという言葉。リズムで捉えてみると言われて、想像しながら読み進める。リズム、つまり、そこにはうねりもある。そこまでいくと、感じかたが随分とイメージしやすくなった。センスはいいとか悪いとかと言うことの前に、そう思えたことが大きな収穫。ちょうど、芸術について、理解しようとする前に、とにかく素直に観て、感じることから始めようと思っていたので、いいタイミングで出会えた。感謝。2024/07/27

サゴウ

81
センスというものはなにか?それはリズムを感じ取る意識の持ち方である。リズムとはビートとうねり=反復と差異で成り立っている。これらを感じ取ることができれば、抽象画や現代音楽など「難解」とされている作品もそれ自体で楽しむことができる。 確かに作品の背景などの「意味」がわかると面白いが、それがなくても十分に楽しめるのが芸術鑑賞であり、日常に翻って、およそすべてのものが「作品」たりえるのだと思わせてくれる。私たちそれぞれにセンスを崩すこだわりや癖、偏りといった「アンチセンス」があり、それすらも楽しめるようになる。2024/07/01

ころこ

46
在と不在、意味とリズム、その反復と差異を途中で「いないいないばあ」と表現しさえする。本書でいうセンスとは意味ではなく、意味以前の事象そのもののとらえ方にあるという逆説にある。これをちょっと変形すると、「地」と「図」のうち、「図」ではなく「地」(文化資本とも言い得る)の方に着目すると考えると、少し問題がみえるかも知れない。このことを言うために、著者の専門であるフランス現代思想では、延々と「地」のテクストが続くところだ。『意味がない無意味』(著者の別の著作)ではそのことを論じた。本書はあえて意味として無意味を2024/04/17

石橋陽子

26
「リズムの多元的な=マルチトラックでの配置 」 が意識出来ることがセンスである。千葉大先生のセンスに対する哲学が大変面白かった。センスとは物事をリズムとして捉えることであり、うねりとビートを感じ取ることという。装丁を例に説明されているのでイメージしやすかった。ライフハックとして、実力の不足に注目するのではなく、手持ちの技術と自分から湧いてくる偶然性で考えること。また、有限性の多様性がわかると、生き方が柔軟になり、自己生活の楽しみはもっと多様性だと気づくことは、大変面白く、新しい概念を得た。2024/07/26

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