出版社内容情報
誰もが容疑者。誰もが当事者。
性にまつわる犯罪……ジェンダー・クライムは連鎖する。
土手下に転がされていた男性の遺体。
暴行の痕が残る体には、メッセージが残されていた。
「目には目を」
なんと男の息子は、3年前に起きた集団レイプ事件の加害者だった――。
次々現れる容疑者、そして新たな殺人。
罪を償うべきは、あなたかもしれない。
天童荒太の原点回帰にして、記念碑的作品!
内容説明
土手下に転がされていた無残な遺体。暴行の痕が残る体には、メッセージが残されていた。「目には目を」。明かされる悲しい過去、次々と現れる容疑者、そして新たな殺人。罪を償うべきは―あなたかもしれない。『永遠の仔』『悼む人』の著者が描く、ノンストップ・クライムサスペンス。
著者等紹介
天童荒太[テンドウアラタ]
1960年愛媛県松山市生まれ。86年「白の家族」で野性時代新人文学賞を受賞。93年『孤独の歌声』が日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『家族狩り』で山本周五郎賞、2000年に『永遠の仔』で日本推理作家協会賞、09年に『悼む人』で直木賞受賞。13年に『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
250
天童 荒太は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。著者の久々の新作は、ジェンダーをテーマにした骨太の社会派ミステリ、序盤かなりエンタメに寄ったのかなと思いつつ、最期は著者ならではの家族ドラマでした。「目には目を」悪質なレイプ魔等は、懲役刑ではなく、宮刑(きゅうけい、castration;去勢する刑罰)で宜しいかと。少し気が早いですが、本書は2024年のBEST20候補です。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639179482024/01/24
いつでも母さん
175
物心ついた時には既にジェンダー下に置かれていた私(昭和ど真ん中)家庭でも社会でも、それは日常で沢山の思いを飲み込んで来たのだ。少しづつ【ジェンダー】が市民権を得てきたとは言え、まだまだ日本は遅れている現状が歯がゆい。天童作品はいつも痛みやジレンマ、赦しや悲哀を衝いて重く響くのが好きだ。今作もメッセージ性が強く、天童さんらしくて良かったが、旧態依然の考え方が沁みついている人には苦々しいかもしれない。警察小説としても面白く読んだ私は、既に配偶者の事は「夫」と言い慣れています(笑)2024/02/18
のぶ
125
自分は過去の「家族狩り」や「永遠の仔」が大のお気に入りなので、天童さんの新作が、エンタメ性の強い警察小説の形で出たことが嬉しかった。物語は土手下に転がされていた男性の遺体が見つかるところから始まる。そこには「目には目を」というメッセージが残されていた。しかも被害者の息子は、3年前に起きた集団レイプ事件の加害者だった。ここから地道な捜査が始まる。次々に出てくる新たな事実。エンタメ性が強いと言っても、そこは天童さんの作品なので、性犯罪に対しての強いメッセージが込められていた。充実した内容でした。2024/03/04
hirokun
105
星5 天童さんの作品を読むのは久しぶり。あとがきの部分を読むと、いろいろの想いがあって取り組まれた作品のようだが、警察小説としても十分楽しめた。作品中での指摘事項について、昔からの習慣が抜けきれない私にとっては、いろいろ参考になることが多かった。今回の作品は今までの天童さんとは少し色合いが違う作品のように感じた。2024/02/07
ゆみねこ
105
長い間この国に根付いた性差別。心と体に傷を負い立ち上がれない被害者とその家族。謝罪の言葉もなく生きる加害者たち。裸で縛られ土手下に転がされていた男性はレイプ事件の加害者家族だった。この変死事件を追う警察官たち。誰が真犯人なのかは最後まで分からなかったが、その過去も過酷なもの。「あなたの主人はあなたです」確かにその通り。天童さんの伝えたいメッセージ、しっかりと伝わった。2024/01/31