内容説明
貧困の中からのしあがった青年ラメッシュがニューデリーで営むのは「教育コンサルタント」。依頼人を希望の大学に押し込むのが仕事だ。今回の依頼は富裕な建設業者からで、息子ルディをインドの一流大学に入れてくれという。ルディはバカなドラ息子であり、手段は替え玉受験しかなかった。受験は無事に終了するも、予想外の結果が待っていた。ラメッシュは全国トップの成績をあげてしまったのだ。インド最高の天才少年現る!とメディアは群がり、ラメッシュはマネージャーの地位に収まってカネを稼ぐ―受験不正がバレたら、待つのは破滅しかない。しかしルディがTV番組で起こした椿事をキッカケに、誘拐と報復誘拐の連鎖が開始され、騒動はラメッシュの予想を超える修羅場へと雪ダルマ式に拡大してゆく!
著者等紹介
ライナ,ラーフル[ライナ,ラーフル] [Raina,Rahul]
インド、デリー生まれ。28歳のときに本書『ガラム・マサラ!』で作家デビュー。オックスフォードでコンサルティング業を営む傍ら、デリーでチャリティー事業を行いながら英語の教師を務めており、インドとイギリスを往復して過ごしている
武藤陽生[ムトウヨウセイ]
1977年生まれ。早稲田大学法学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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☆よいこ
80
インド舞台のドタバタ犯罪小説。前半は替え玉受験、後半は誘拐と逃亡劇▽ラメッシュ・クマールは貧しいチャイ売り屋台の息子で、父親から虐待されてた。子供を殴るのは伝統で自分も父親と同じになると思っていたラメッシュの運命を変えたのは、白人修道女クレアの教育だった。クレアは信念を持ってラメッシュを勉強させたが、差別的な社会がラメッシュを替え玉受験犯罪者にした。ルディの代わりに「共通試験」を受けたラメッシュは全国トップの成績を取り、ルディは瞬く間にセレブへ駆け上る。ルディとラメッシュは華やかなテレビ業界へ▽映画ぽい2024/08/11
pohcho
57
誘拐に巻き込まれ、指を一本切り落とされた主人公。どうしてこうなったのかを回想する形で話は進む。貧しいチャイ屋の少年が教育を受けて違法な教育コンサルタントに。替え玉受験で全国一位になり、替え玉の相手がインド最高の天才少年として一躍有名人に。彼のテレビ番組まで始まり主人公はマネージャーに収まるのだが・・。替え玉受験に誘拐事件(しかも3回も)と犯罪小説なのだが、どちらかというとドタバタコメディのようで、最後まで予測不能な展開だった。 インドってなんだかすごい、カオスだ!と思いながら読了。結末はちょっとせつない。2024/02/02
TATA
46
タイトルと表紙からもっと突き抜けた感じの馬鹿話と思ったのだけど、いやー、なかなか現代インドの矛盾アレコレを詰め込んだストーリー。誘拐してはされてのスピード感に溢れたドタバタ展開、この辺りはかなり好き。ラストが少し興醒めでしたがまあそこはご愛嬌。原題はHow to kidnap the richなのに「ガラム・マサラ!」かあ、、。やり過ぎじゃないのかな。2024/10/18
アイシャ
29
表紙の原題が How to kidnap the rich となっているが、元々の原題はこちらだったとのこと。ややこしいですが。チャイ屋台を営む父親のもとで育った少年。貧困と暴力の中、彼に教育という救いを与えたシスター。「僕はただ一生懸命やるだけでよかった。どんな馬鹿でもできることだ」という少年の成功話かと思うと、そうはいかない。彼は替え玉受験で生活する道を選択するしかなくなり、かなり話はハチャメチャに。文化の違いからよく理解できないところもあるのだが、インドの格差社会の厳しさを痛感した。2023/12/09
わたなべよしお
23
何というべきか?僕にはイマイチだったかな。確かにインドの貧困とか、社会とかが描かれてはいるが、まあドタバタ喜劇みたいなもの、と言えばよいのか?その点ではおもろいといえばおもろい。だが、地に足の着いたリアリティみたいなのが薄い。勿論、小説なので真実じゃなくても真実と感じられるような深いリアリティがあればいいんだけど。 2023/12/18