出版社内容情報
世界的ベストセラー『21世紀の資本』のトマ・ピケティが、「格差」について考察。
「r>g」の衝撃から10年。戦争、気候危機、経済不安などを受け、世界は”第二次ピケティ・ブーム”へ。
その最新思想エッセンスを、ピケティみずからコンパクトな一冊にまとめたのが本書である。
・「社会は平等に向かうべき」との思想はいつ始まったのか
・所得格差が最も少ない地域、最も多い地域は?
・「所得格差」と「資産格差」について
・累進課税制度の衝撃
・世界のスーパーリッチたちの巨額税金逃れ問題について
・ジェンダー格差をどう考えるか?
・環境問題の本質とは、「自然資本の破壊」である
・炭素排出制限量において、取り入れるべきアイデア
・「戦争や疫病が平等を生む」という定説は本当か
ーー「持続可能な格差水準」は、存在するのだろうか?
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
56
乱暴に言ってしまえば、下位50%の人々は全然資産を持っていないか、ほとんど持っていない(26頁)。肝心なのは、政権運営を担うのが誰か、何をめざすのかといことである(48頁)。経済成長の真の原動力となるのは、教育である(71頁)。御意。公的債務の背後に、社会的な対立や政治的な対立が隠されている(83頁)。自然の破壊とは、自然資本の破壊に他ならない(88頁)。不平等の問題は、経済学者のみならず、社会科学の他の研究者の参画が必要(96頁)。つまり、学際的アプローチが必要である。2024/08/13
うえぽん
48
仏経済学者による2022年の講演録。所得・資産・ジェンダー面の格差の時系列データを基に、所得税・相続税の累進化等を通じた平等化への各国の歩みを比較。普選導入が遅れたスウェーデンで平等化に進んだのは第一次大戦後であることから文化的決定論を排し、政治参加と国家の能力が平等への進展を生むとする。絶対的平等はあり得ないが、所得で1対5や10程度の格差は許容できても、50〜100倍は正当化できないとする。海外資産のGDP比の国際比較で、現代日本が20世紀初頭に広大な植民地を持った英国の半分近いレベルなのは興味深い。2025/10/29
燃えつきた棒
37
2022年3月にパリで行った講演の原稿に加筆したもの。 ピケティは、2013年に刊行された『21世紀の資本』が世界的ベストセラーになったので既に読まれた方も多いのではないかと思うが、のろまな僕は本書が初読。 メディア上で伝え聞いた範囲で言えば、ピケティの累進課税を重視する考え方には我が意を得たりの感を持っている。 96ページと薄い本であり、非常に分かりやすく書かれているのでピケティの考えの概略を知るにはいいかも知れないが、違和感なくすんなり読めてしまう分、あまり心に残らない。 やはり、眠っている眼を→2024/07/05
よっち
31
トマ・ピケティによる国際比較と歴史の観点から「格差」について語った講演をまとめた一冊。社会は平等に向かうべきとの思想はいつ始まったのか、所得格差と資産格差の違いについて、累進課税や世界の資産家の巨額税金逃れについて、債務についてどう考えるべきか、ジェンダー格差をどう考えるか、自然資本の破壊、炭素排出制限量など、世界が直面する諸問題を取り上げていて、経済・財政・公的債務・富の再分配からの解決には様々な角度からの視点が求められていること、問題を丸投げしないことの重要性がとても分かりやすくまとめられていました。2023/08/02
道楽モン
24
ピケティの講演を書籍化したコンパクトな一冊なれど、データを駆使して不平等を顕在化させる姿勢は一貫しており、説得力は十分。世界的に既得権益により資本家が蔓延るのはマルクスの予言通りであるが、革命で劇的に改革することが解決策ではなく、漸進的に改革を進めた成功例が北欧であることが示されてはいる。ただし、その指数はまだまだ小さい。ピケティの提示を出発点として、教育による民主主義の獲得を目指し、結果的にシステムの根本を一新することがゴールなのだろう。月末発刊の『資本とイデオロギー』を待望している。2023/08/10
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