出版社内容情報
高度経済成長が円熟期を迎え、誰もが「明日はよりよくなる」と信じることができた時代。
一九六七年、一人の少年がマイクを握った。
その瞬間、彼の運命は、芸能界の歴史は軌道を変えた――。
ザ・タイガースの熱狂、ショーケンとの友愛、
「勝手にしやがれ」制作秘話、
ヒットチャートから遠ざかりながらも歌い続けた20年間……。
バンドメンバー、マネージャー、プロデューサー、
共に「沢田研二」を作り上げた69人の証言で織りなす、圧巻のノンフィクション。
「週刊文春」掲載当初から話題沸騰の連載、いよいよ単行本化!
内容説明
1960年代。音楽やファッションが革新を遂げ、サブカルチャーが花開き、大量消費の時代が始まる。その中心には必ず、彼がいた―。バンドメンバー、マネージャー、プロデューサー、共に「沢田研二」を創り上げた69人の証言で織りなす、圧巻のノンフィクション。
目次
第1章 沢田研二を愛した男たち
第2章 熱狂のザ・タイガース
第3章 自由・反抗・挑戦
第4章 たった一人のライバル
第5章 歌謡曲の時代
第6章 時代を背負って
第7章 レゾンデートルの行方
第8章 沢田研二ルネッサンス
著者等紹介
島〓今日子[シマザキキョウコ]
1954年、京都市生まれ。ノンフィクションライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kei
92
森瑤子、安井かずみ、と一時代を築いた女性の生涯を丁寧に追った著書が素晴らしかったので、ジュリー、読んでみました。前者は故人だが、沢田は健在。そのせいか、生い立ち、成功への軌跡、時代から離れる経緯、仲間からの賞賛や評価は完璧だが、肝心の女性関係がすっぽり抜けている。ザピーナッツや田中裕子との関わりは、沢田には影響大だと思われますが、okが出なかったのでしょうか。でも、それこそが読みたいんですがね。多分、あのルックスの変化にも私生活は現れているような。後年の加筆に期待いたしましょう。2024/04/19
fwhd8325
86
タイガースがデビューして間もない頃、私は、生まれて初めてかっこいいという感情を持ちました。それから、ジュリーは、特別な存在でした。この著書は、ジュリーに肉薄している内容ですが、どこか物足りなさも感じています。関係者への取材は十分ですが、本人への取材をしていないせいか、どこか核心がずれているように感じます。それでも「TOKIO」以降のジュリーの葛藤はよくわかりました。今、映像を見ると、あれは時代を先取りしすぎていたんだと思います。75歳になる今、全国ツアーを行っている事実だけで十分だと思います。2023/06/22
天の川
54
島崎さんの本は関係者への取材が本当に丁寧だ。評伝「安井かずみのいた時代」「森瑤子の帽子」、インタビュー「この国で女であるということ」と、取材対象は女性が多いけれど、今回は性を超越した存在として時代の先頭を走ったジュリーだ。彼の美しさと歌唱力に魅入られた人々がつくり上げた虚像。その華やかな虚像の裏で、周りやファンの期待に真面目に応え、努力を続けた人間がそこにいた。ジュリー推しの友人に連れられ、去年ライブに行った。ステージを駆け、精力的に歌い、「じじい」と自らを呼ぶ彼は自然体で年齢を重ねて幸せそうに見えた。2023/11/02
竹園和明
51
沢田研二のスピリットは100%ロックだ。タイガース解散後に結成したPYGが彼の本当のスタート地点。沢田研二と萩原健一というGSのスーパースターをツートップに置き鳴り物入りでデビューしたPYGだったが、反体制のロックファンから商業主義の象徴と見做され受け容れられず短命に終わる。それでも沢田はバンドサウンドにこだわり、萩原健一脱退後の旧PYGのメンバーをバックに従え頂点に立った。謎多きPYG周辺の事情を詳しく書いた本作は画期的だし、歌番組と距離を置いた理由も彼の哲学を見た思いで納得。とても面白かった!2023/08/10
ぐうぐう
43
BLという切り口から沢田研二を語ろうとするあざとさは、しかし読み進めていくにつれ、納得と共感に変わる。久世光彦は沢田研二を女優と言い(そもそもジュリーというニックネームは英語の女性名だ)、「日本人男性の男はこうでなければならぬとするカチカチのこだわりに、沢田研二はたったひとりでなぐりこみをかけた」とは石岡瑛子の弁。ザ・タイガースで始まり、PYGを経て、ソロとなる沢田研二の歌手人生を島崎今日子は、記事や文献、関係者の証言、熱烈なファンにまで取材し、(つづく)2023/07/07