内容説明
火山噴火で孤絶した集落。森の中から彼らに忍び寄る群れ―作家マックス・ブルックスのもとに届いた手記。それはレーニア山噴火後、廃墟となって発見されたエココミュニティの住人が残したものだった。未だ原因が明かされていない集落全滅の真相とは?武器も食糧もないひとびと。地面に刻まれた人間そっくりの巨大な足跡。闇にひびく咆哮。森の中に散乱した動物の死骸。そして牙を剥いて襲い来る凶暴な群れ。傷だらけになった人間たちの反撃、果たして成るか?
著者等紹介
ブルックス,マックス[ブルックス,マックス] [Brooks,Max]
1972年、ニューヨーク生まれ。TV番組“サタデー・ナイト・ライヴ”の脚本などを手がけたのち、2003年、ゾンビ襲来時の対応マニュアル『ゾンビサバイバルガイド』で作家デビュー。話題となった同書のアイデアを発展させた初の小説『WORLD WAR Z』もベストセラーとなり、ブラッド・ピット主演で映画化された
浜野アキオ[ハマノアキオ]
1961(昭和36)年、宮城県生まれ。京都大学文学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うまる
33
UMAが襲ってくるB級ホラーかと思っていたけど、人間の心理と人類の話が織り込まれたリアルなパニックホラーでした。何らかのパニックが起きた際の人間を読むという点では、予想外に読み応えがあって面白かったです。協力しなければいけない中で、逆張りしてくる人、誤った知識をひけらかす人、そういやコロナ禍でもいたなぁと苦笑い。パニックものの中でも、この話の特異な点は、自然と調和して生きる事を選んだ集団だという事。自然に対する意識高い系に加えて、ヴィーガンも居る。それがより事態を悪化させる所が現代的で良くできていました。2023/05/24
のりすけ
29
意識高い系の方々が集まるコミュニティ住居が火山の噴火で孤立。そこへやってくるサスクワッチとのバトゥ…バトゥ?「彼らとも仲良くなれるかも」なれるかい!このポンツク脳どもが。愛と平和と理想論で生きてる方々がいかに蹂躙されていくか。前半の人間関係も面白いけど後半のVSサスクワッチも面白い。こういう意識高い系って『グリーン・インフェルノ』でもボロカスひどい目にあってたけど、ウザがられてはるん?もしかして。2023/06/27
ズー
20
終始世界丸見えのドキュメンタリーコーナー観てる感じ。すごくリアルで面白い。イエティって完全に異国の生物だと思っているから、怖いと思ったことないけど、アメリカでは「もしかした突然窓を突き破ってくるかも」とかそう言った怯えがあったりするんだね。結局未来的進歩なんてもんは弱くて、手段がなくなっていくと原始時代にやっていたようなことに戻っていくんだね。どんどん覚醒していくケイトも、物語の面白さを加速させている。結末は一体どれだったんだろね。そんなわけで私も第4の可能性考えちゃうな。猿も人間も変わらんのかもね。2023/06/15
まぶぜたろう
18
火山噴火で孤絶したコミュニティをモンスターが襲う。シンプル。シンプルにしてパーフェクト。ありふれたアニマル・パニック小説にあなたが期待している全てが書き込まれ、新たなアイデアに満ちている。脆弱なインテリたちのサバイバル、その人物の描き分けもいい、フェイク・ドキュメンタリーという手法も効いていて、残された手記とそこに挟み込まれるインタビューや論文との相乗効果が素晴らしい。余韻の残るエピローグまでまさに一気読みで、初期のキング、脂の乗り切った頃のスティーブン・キングが書いたようだった。傑作。(◯◯◯◯)2023/05/04
佐倉
16
米国のモキュメンタリー、凄く面白かった!著者マックス・ブルックスの元にフランク・マクレーという人物からメールが届く。彼はレーニア山の麓にあるエココミュニティ・グリーンループで起きた惨劇を取り上げて欲しいというが、その惨劇というのは噴火によって閉された集落でのサバイバル…そしてなんとビッグフットによる襲撃だった。本書は集落にいたマクレーの妹が残した日記、そして現地の救助活動に従事したシニアレンジャー隊員と今も妹を探すマクレーへのインタビューによって構成されたノンフィクション…という体裁のモキュメンタリー。2024/07/20