出版社内容情報
「すべての出会いは運命的だ」
35歳、9月。ロンドンで高校の同級生の結婚式に参加した。
仁と茜の夫婦は、茜の古い友達を訪ねてペルージャまで足を延ばす。
そして窓目くんは、結婚式でシルヴィに出会ってしまったのだった。
――言葉と記憶があふれだす、旅の連作短編集。
内容説明
仁と茜の夫婦は、茜の古い友達を訪ねてペルージャまで足を延ばす。そして窓目くんは、結婚式でシルヴィに出会ってしまったのだった。言葉と記憶があふれだす旅の連作短編集。
著者等紹介
滝口悠生[タキグチユウショウ]
1982年、東京都生まれ。2011年、「楽器」で第43回新潮新人賞を受賞しデビュー。15年、『愛と人生』で第37回野間文芸新人賞を受賞。16年、「死んでいない者」で第154回芥川賞を受賞。18年にはアイオワ大学の国際創作プログラム(IWP)に参加し、滞在中の日記等は『やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記)』としてまとめられた。22年、『水平線』で第39回織田作之助賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
J D
66
滝口悠生さんの新作。「長い一日」に登場した窓目くんの物語でもある。「もう!窓目くん!!」と叫びたくなるような作品。窓目くんの他人を傷つけない生き方というか生きる姿勢?うーん、持ってる雰囲気、気配、感覚?うまく言えないけど好きだな。というか、これは滝口悠生さんの持ってるものだろうけど。窓目くんの作る料理食べてみたい。「長い一日」をもう一度読み直そうと思った。やはり、「窓目くん!!!」と叫びたい。2023/02/22
pohcho
57
ロンドンで夫の学生時代の友人の結婚式に参加して、その後、妻の古い友人に会いにイタリアのペルージャへ。夫婦の旅がそれぞれの視点で描かれるが、とりとめのない思考が延々と続くのが楽しい。ずっと読んでいたくなるような気持ちに。後半は同じ結婚式に参加した窓目くんの恋の顛末。ラーメンカレーのメッセージが長すぎてなにこれと思ったけど、彼はすごくいい人なのだった。妙に悲観的なところも親近感。いつか幸せになってほしい。(「長い一日」にも登場されているそうなので、そちらも是非読みたい)アッパとアンマのお料理風景も好き。2023/02/28
olive
52
ミニシアターのドキュメンタリー作品を見てるような感覚だった。よってエンタメ性はない。表題作を含む窓目くんの手記が面白かった。ロンドンの結婚式で出会い遠距離恋愛することになったシルヴィから、あなたの仕事についての詳しく教えて♡英文で答えることになった窓目くん。冷静に答えているが...なかなかのクレイジーさ。窓目くん!そのシルヴィという女に騙されているのでは?読者は全員が思っているぞ。えっ?窓目くんもそう思ってる?そこじゃない?ロマンチックの臨界点はどこにあるのか、ラーメンカレーの意味が知りたい人は読んで。2023/05/07
路地
50
作中で起こる比較的大きな出来事はさらっと、小さな感情の揺れやなんてことない様子は緻密に描き込まれる文章が独特。報われない恋愛に、報われないからこそ喜びを感じるような窓目くんに通じる美学を感じる。2023/05/12
よこたん
44
“一緒に暮らしはじめて結婚した相手の高校時代からの友達が結婚した相手がイギリス人だったから、結婚式をロンドンでやることになったから、そのついでにイタリアに来た。” ふわふわと漂う文字を文章を、逃げられないように必死で追いかける。私の文章もたいがい長くくどいのだが、そんな程度のものじゃない。主語に馴染めず誰が語ってるのか、なかなかわからなかったりもしたが、次第に淡々と流れる文字の洪水に身を任せられるようになった。料理作りの描写がやたら丁寧で、スリランカのカレーこれ読んで作れるかもと思うくらいだった。2023/06/13