出版社内容情報
“家族のかたち”を守るため、あの日わたしは自分を殺した。親との関係に悩むすべての人へ――失われた感情を取り戻す、ヤングケアラーの実録コミック!
統合失調症の母、家庭に無関心な父、特別扱いされる弟、 認知症の祖父――ゆいは幼稚園のころから、買い物・料理・ そうじ・洗濯など家族の世話を一手に担っている。母親の暴力に耐えながら「子どもらしさ」を押し殺して生きるのに精一杯だった彼女の子ども時代と、成人してからの「ヤングケアラー」としての自覚。 仕事、結婚、子育てを通じて、悩みにぶつかりながらも失われていた感情を取り戻すまでの再生の物語です。
『精神科ナースになったわけ』『まんが やってみたくなるオープンダイアローグ』( 共著:斎藤環)ほか医療系コミックで累計25万部の著者が、2年以上の当事者取材から描きおろす最新作です。「ヤングケアラー」について理解を深めるコラムや、ヤングケアラー支援団体の紹介ページも収録。(※10代の当事者も読めるよう、総ルビとなっています)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MI
104
ヤングケアラーとは本来親が担っている家事を子どもが大半担っている人。ヤングケアラーの半生をわかりやすくマンガで書かれた本。テレビや本で少し読んだことがあったが、本書を読んで 特に成長したあと、結婚、出産をへて、子育てをする中で、自分の幼少期の苦い思い出と重なり、成人になってからの方が、心のケアが大変だということを学んだ。感情を押し殺して成長してきたため、自分の感情を押し殺してきた。親と離れて生活をするようになり、自分がやりたいことがわからない。生活支援のこと、生きづらさのことをよく知ることができた。2023/01/27
読特
75
親の病気や障害で家族の世話と家事を担う子供たち。ヤングケアラーは小学生の15人に1人。35人クラスに平均2人強。少ないとは言えない割合。小さなころからそこにあった家庭の形。困っていることさえ気づけず思春期を迎え、大人になる。自分自身が子供を持つ。様々な生きづらさを抱える。とある瞬間にフラッシュバックする自身の幼少期の記憶。親との思い出。愛おしさと悲しさ・・・あぶり出されにくい家庭内の問題。著者も取材しながらその実態に驚いたという。共助に公助。力になれることはないのか?些細なことでもできる何かをみつけたい。2023/02/26
ネギっ子gen
74
【大丈夫です。困ってないです。~ 何が「問題」かも判らなかった……】「心の病気」(統合失調症)による幻聴で暴れたり「浮気妄想」を言い立てる母、家庭に無関心な父、特別扱いされる弟、認知症の祖父。ゆいは幼稚園の頃から家族の世話を一手に担う。“大人の見栄・保身・世間体”の壁には感情をなくし対抗――。「あとがき」で、<取材していて実感したのは、「子どもはプライドが高い」ということです。同情されたくないですし、誰が何に怒るのか、喜ぶのか、冷静に見極めて行動しています。子どもの強かさを大前提にしながら描きたい>と。⇒2023/04/06
たかこ
62
虐待サバイバーに続き、今度はヤングケアラーの本を。絵は可愛いのに内容がキツい。でも、実際にあったエピソード。子どもが子どもらしくふるまえない環境で育つこと。困ったことが問題として認識できないこと。それは子どものせいではない。子どもに頼りきる親、みてみぬふりをする周囲の大人、本当に救われない。今ヤングケアラーな子にこの本が目に止まりますように。そして、成人して自分の家庭を持った時になってもなお苦しめられる。苦しいし、生きづらいよね。周りに気にかけてくれる人がいますように。2023/06/14
鷺@みんさー
44
私はヤングケアラーではなかったけど、親から虐待されて、自身も発達障害で、色々あったのでわかりみの場面いくつか。自分をロボットにしたり、テレビ画面のように遠ざかる乖離とか、初めて感情や風景の鮮やかさがよみがえって、自分がいかに壊れてたか自覚したり。漫画のラストでは泣いた。でも私は、子供は絶対に無理だ。怖くて怖くて、しんどくて、無理。生まないことが唯一、存在しない我が子への最大の愛情だと思ってる。それにしてもつくづく、自助会やらセラピストやらの役割ぜーんぶ、彼氏が一人でやってくれたんだよなぁ、と。命の恩人だ。2023/03/27