出版社内容情報
立花隆氏は1986年から87年にかけて、写真家の佐々木芳郎氏とともに南米ブラジル・アルゼンチン・パラグアイのレドクシオン(伝道村)を訪ね歩いている。
そこには、かつてキリスト教イエズス会の宣教師たちが、グアラニ・インディオたちと作り上げたユートピア「神の王国」があった。
立花氏はその感動を月刊「文藝春秋」などに発表し、さらには佐々木氏の撮影した遺跡や聖像の写真をたくさん載せた本を作る予定であった。
だが、出版目前に立花氏の作業は止まる。
キリスト教世界と正面から向き合う内容だけに、さらに改稿の意図があったと思われる。その後の立花氏のエッセイなどにも、『インディオの聖像』は「死ぬまでに完成すべき本」として挙げられていることから、そのことは想像できる。しかし、立花氏の多忙により筆はなかなか進まず、2021年の急逝により、本稿は未完となってしまった。
初校まで完成していた原稿は、立花氏のキリスト教観の一端が表れている貴重なものだ。そこで今回、ご遺族の了承を得て、佐々木氏の写真とともに出版することとした。
32ページにおよぶカラーの口絵には、躍動感あふれ息吹を感じる写真が70点掲載。南米に突如現れ、そして消えていった「神の王国」の姿が再現されている。本文モノクロページにもふんだんに写真を載せているが、そこに写る立花氏の若々しさに、読者は思わず微笑むだろう。
内容説明
立花隆が見た南米「神の王国」。17世紀、南米ジャングルにイエズス会が建設した伝道村。現地のインディオたちはキリスト教化され、18世紀後半に滅亡するまでユートピアともいえる文明社会として発展した。彼らは芸術においてもヨーロッパのバロック様式に独自の感性を付加し、「中南米バロック」と呼ばれる美術様式を生み出していった。1986年から87年にかけて南米現地取材をした著者が、キリスト教と異文化の衝突の歴史を読み解く。当時の雑誌発表記事に加え、未発表原稿も収録。彫像・板絵カラー70点を掲載。
目次
1 神の王国イグアス紀行
2 インディオたちの聖像―ラテン・アメリカのキリスト教美術
3 インディオの聖像
著者等紹介
立花隆[タチバナタカシ]
1940年長崎県生まれ。64年東京大学文学部仏文科卒業後、文藝春秋新社入社。66年退社し、翌年東京大学文学部哲学科に学士入学。在学中から文筆活動を始める。74年『文藝春秋』に発表した「田中角栄研究―その金脈と人脈」は時の総理大臣を退陣に追い込み、社会に大きな衝撃を与えた。その後も旺盛な執筆活動を続け、「知の巨人」と呼ばれた。2021年4月30日、急性冠症候群のため死去。享年80
佐々木芳郎[ササキヨシロウ]
1959年大阪府生まれ。関西大学商学部中退。80年写真事務所フォトライブを設立。82年大阪・梅田コマ劇場「ラ・マンチャの男」の舞台撮影でマスコミ界デビュー。83年マガジンハウスの特約カメラマンとなる。週刊文春、週刊現代などさまざまな雑誌で活躍。2006年からは米朝事務所専属カメラマン。現在はアイドルからローマ教皇まで、あらゆるジャンルをテーマに人物撮影や取材、書籍及び雑誌の企画・編集・執筆を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫羊
横浜中華街2024
DEE
takao
Go Extreme