出版社内容情報
「捨てないで、……私を」
ラブドールと暮らす男が、生身の女性と恋に落ちた。前途で男を待ち受ける危険と陥穽とは?
内容説明
ラブドールと暮らす男が、生身の女性と恋に落ちた。前途で男を待ち受ける危険と陥穽とは―「捨てないで、…私を」。
著者等紹介
辻原登[ツジハラノボル]
1945年、和歌山県生まれ。85年「犬かけて」でデビュー。90年「村の名前」で芥川賞、99年『翔べ麒麟』で読売文学賞、2000年『遊動亭円木』で谷崎潤一郎賞、05年「枯葉の中の青い炎」で川端康成文学賞、06年『花はさくら木』で大佛次郎賞、10年『許されざる者』で毎日芸術賞、11年『闇の奥』で芸術選奨文部科学大臣賞、12年『韃靼の馬』で司馬遼太郎賞を受賞。同年、紫綬褒章を受章。13年『冬の旅』で伊藤整文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わたなべよしお
20
久しぶりの辻原作品。何といえばいいのか、読み始めると、直ぐに引き込まれてしまう。とても不思議な魅力があることは間違いない。ラブドールを登場人物の一人にしてしまうこと自体が凄いし、その他の登場人物もちょっと異常な人ばかりだ。なのに、馬鹿馬鹿しいとも思わないし、違和感もなく、作品の中に入ってしまう。妙なリアリティがあるのだ。とても良い作品でした。2022/07/08
はじめさん
17
小春とは、出版社勤務の中年男が買ったダッチワイフである。単に性欲処理の道具ではなく、仕事の愚痴などを聞いてくれる、イナジマリー嫁inシリコン。そんな男がつきあっているのは、バーの女主人。情はあるが割り切ったお金の関係であり、女主人はかつて出演したAVについて、店の常連に強請られるのが悩み。そして男の部屋を双眼鏡で見下ろす隣のマンションに暮らす女、恋の相手としてストーカー行為でロックオン★ この2人は男の性癖を知らない。そして時折差し込まれる、小春の行動。裏声二人羽織ではなく、自我を持って活動している…?怖2022/07/30
マカロニ マカロン
13
個人の感想です:A-。本の帯にあるように「捨てないで、・・・私を」で後半怒濤のホラー展開になるのだが、途中ストーリーそっちのけで映画、音楽、芝居、美術陶芸、カフェ等など話が膨らんでいく(悪く言うと脱線)していくので、話の腰を折られた感を持つ読者も多いのではないか?『寂しい丘で狩りをする』や『東京大学で世界文学を学ぶ』でも同様に辻原さんの映画などへの深い愛情と知識を披露されていて、私はとても好きです。『心中天網島』の小春ともイメージが重なって、小春が魅力的でも、えっ!動けないはずだが???2022/07/22
ガブリエル
8
やはり人形は怖い。途中までのスピード感のなさを補って余りあるほどのラストに向けての怒涛の展開。 「捨てないで、‥‥私を」と訴えかける小春のひたむきさが哀しい。主人公・矢野聡を取り巻く3人の女。誰も幸せにならない結末。矢野の身勝手さが際立つ終盤だけど、最後の最後で矢野を救って自ら火の中に戻っていく小春の愛が際立つ。 小説としては、実在する街の説明や、カフェの情報、映画や小説の情報が詳細に描かれすぎて、その度に物語の流れが止まるような印象。その手の解説本ならいざ知らず、ちょっと邪魔だったかな〜。 2022/06/09
ムーミンママ
6
大人のお人形 小春。何故か話すし動く。背景が美しいのに登場人物が皆 ちょっと抜けてて しかも自分の幸せに固執してて。。終盤の小春の行動がホラーでございました。2022/09/01
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- 和書
- 大高輝美のお人形 …