出版社内容情報
名探偵ホームズがビクトリア朝の英国人ではなく清末香港の中国人だったら! 正典からの換骨奪胎ぶりが絶妙な極上のパスティーシュ。
内容説明
世界が注目する香港版ホームズついに登場!ミステリーファン必読。圧巻のパスティーシュ!阿片をくゆらし胡琴を奏でる辮髪の探偵福邇が、借間人の医師華笙、小間使いの少女鶴心とともに荷李活道二百二十一号乙に持ち込まれる事件を解決する。
著者等紹介
莫理斯[バクリシ]
トレヴァー・モリス。1965年香港生まれ。ケンブリッジ大学で法律を学ぶ。研究生活ののち、2001年に帰国。映画会社に勤務し、ドキュメンタリー映画やアニメーション映画の製作にあたる。香港大学法律系客員副教授も務めた。香港芸能界の大スターである歌手・俳優のカレン・モク(莫文蔚)の兄。2017年に刊行された『辮髪のシャーロック・ホームズ―神探福迩の事件簿』(原題『神探福迩、字摩斯』)が初めての小説作品である
舩山むつみ[フナヤマムツミ]
東北大学文学部文学科(フランス文学専攻)卒業、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。日経国際ニュースセンター、スイス大使館などを経て、翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
66
辮髪とある通りに、シャーロック・ホームズの中国版なミステリ6編。 タイトルからあのエピソードを引用したのかと思い起こさせるが、基本は変わらない。 ホームズの相棒にはワトソンだし、名前から連想される重要人物も顔出し。 1話目のダイイングメッセージも中国に掛けて上手い作り。 今後はシリーズ化されるらしいが、そうなるとあの最大のライバルも出てくるということになるし、有名なエピソードがどういう見せ方になるのか楽しみだ。2022/07/08
たま
58
ホームズもののパスティーシュ6編。1880年代の香港で満人の探偵と漢人医師の友人が活躍する。面白い。謎の提示部分は本歌取りで楽しませ、謎解きは香港の社会と歴史(詳しい注付き)を踏まえる。私には香港を視座に据えた19世紀末東アジア世界が新鮮で面白かった。後半ワンパターンになりかけのところでアイリーン・アドラーやマイクロフトも登場する。満人ホームズは英人のようにエキセントリックではなく礼儀正しい正統派中国知識人。続編もあるそうで楽しみだが、イラスト表紙に似合わぬ漢字の多さで歯ごたえあり、売れるかなと少し心配。2022/07/07
小太郎
46
推理小説の中でもシャーロックホームズほどパスティーシュや二次創作、オマージュの対象となってる物語はないような気がします。この作品は舞台を19世紀末の香港、ホームズとワトソンが辮髪の中国人と言う設定。これだけでもう期待は高まるのですが読んでみるとホームズ好きの気持ちを揺さぶる作品になっています。6編の短編と言うのも読み易いし、所々に散りばめられた作者のホームズ愛にはニッコリ。各作品の元ネタを考えたりするのも楽しみの一冊でした。翻訳は時代背景や日本語、中国語の漢字問題も含めて大変だったと思います。★3.52023/08/29
ベル@bell-zou
30
この髪形を辮髪というのね。事件の謎解きは福邇(フーアル)、やきもきするのは華笙(ホアション)に。それぞれ任せて読んでいるこちらはただ楽しめば良い。本家シャーロックホームズへの愛あるオマージュに加え独特の味わいと丹念に練られた物語六編、アヘン戦争後1881~85年の香港。清とイギリス、インドにフランス。多国籍情緒も色濃く複数言語を操りながら生きる人々の逞しさに現代に続く中華人民の強かさのルーツも感じた。線香一本が焼ける時間は30分、なるほど。それにしても漢字が多い(笑)。そしてシリーズ四巻まであるとは……。2023/05/27
marryparty1
30
香港人から名探偵シャーロック・ホームズへの恋文であり、シャーロキアンから香港へのラブレターである六つの短編集。辮髪のホームズとはなかなかユニーク。どのストーリーをもとにしたのかわかるのもあって楽しめた。最初の1ページ目だけ漢字の多さにひるんだけれど、昔の香港の様子もわかったりして興味深かった。シャーロキアンのためのちょっもしたお楽しみも隠されているらしいけどそれはよくわからなかった。全4巻を予定しているらしいので続きが出たら読んでみたい2022/09/13