出版社内容情報
香君という女性が人々を飢餓から救った伝説の残るウマール帝国。藩国王の娘アイシャは抜群の嗅覚で植物の世界を読み取る力があった。
内容説明
遥か昔、神郷からもたらされたという奇跡の稲、オアレ稲。ウマール人はこの稲をもちいて帝国を作り上げた。この奇跡の稲をもたらし、香りで万象を知るという活神“香君”の庇護のもと、帝国は発展を続けてきたが、あるとき、オアレ稲に虫害が発生してしまう。時を同じくして、ひとりの少女が帝都にやってきた。人並外れた嗅覚をもつ少女アイシャは、やがて、オアレ稲に秘められた謎と向き合っていくことになる。
著者等紹介
上橋菜穂子[ウエハシナホコ]
1962年東京生まれ。文学博士。川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』で作家デビュー。著書に『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズなど。野間児童文芸賞、本屋大賞、日本医療小説大賞など数多くの賞に輝き、2014年には国際アンデルセン賞作家賞を受賞。2020年、マイケル・L・プリンツ賞オナー、日本文化人類学会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
460
上橋 菜穂子は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。7年ぶりの新作長編ということで期待して読みました。上巻は一気読み、続いて下巻へ。トータルの感想は下巻読了後に。 https://books.bunshun.jp/sp/kokun2022/05/10
ちいこ
263
上橋作品初読み。あらすじに物凄く惹かれて読みました。面白い~!ワクワクしました。2022/04/17
とろとろ
262
久しぶりに著者の長編。独特の世界観があってすぐに話に没頭してしまう。奇跡の稲オアレ稲をもたらし、香りで万象を知るという初代の「香君(こうくん)」によって、強大な帝国が築かれた。その後の「香君」はただの美しい人にすぎない飾り物であったが、住民の生きる支えとして受け継がれていた。人並外れた嗅覚をもつ主人公の少女は、その稲に秘められた謎を解き明かす、というのが大筋らしいな。植物と会話するという発想が面白い。参考文献には植物に関する論文がたくさん。上巻はいよいよ稲に害虫がついた。さぁ。どうする!、ってところまで。2022/07/31
のぶ
215
まだ上巻を読む限りだが、この先壮大な世界の物語に発展して行きそうで楽しみだ。主人公は特殊な嗅覚を持ち、植物や動物がどんな香りの声を発しているのか、香りを聴くことができる少女アイシャ。上巻では痩せた土地でも育ち、病害虫に強い奇跡の稲、オアレ稲をめぐり、人々を飢餓から救い、富をもたらしたというその穀物をめぐる何とも不思議な話。そこでアイシャは王国の人たちと、様々な関わりを持ちながら、その能力で、オアレ稲の危うさに気づいていく。まだ進む方向は分からないが、読みだしたら止まらない面白さ。全体の感想は下巻で。2022/04/13
美紀ちゃん
193
綺麗な表紙。香りで万象を知る人。 香りが、夜になるととてもうるさくなる。アイシャは漂って来る香りが言葉のように意味を持つものとして感じる。香りの声は心に障る。騒音のように。初代の香君と同じような能力を持つアイシャ。香君というのは、大きな役割を担わされた美しい神像のようなもの。これまでの歴代の香君もオリエさんもなんと能力は無いという。初代の香君だけ。さつま芋みたいな匂いをたどり、オラムを追って遥々きたが、捕まってしまったアイシャ。海が見える。そして窓の向こうに何が見えたのか?次巻も楽しみ。 2022/04/18