出版社内容情報
カミュ『ペスト』に描かれた大人の市民像から、国民を無気力化する政治まで――社会の病毒をえぐり、再生への道筋を示す真の処方箋!
内容説明
“コロナ・マッチョ”、反知性主義、正常性バイアス、相互監視、医療崩壊、縁故主義、『1984』的ディストピア、後手に回る政治…「生きている気」がしなくなる国で―なぜ日本はここまで劣化したのか?社会の病毒をえぐり、再生への道筋を示す真の処方箋!
目次
1 コロナ後の世界(隣組と攻撃性;パンデミックとその後の世界 ほか)
2 ゆらぐ国際社会(トランプとミリシア;アメリカ大統領選を総括する ほか)
3 反知性主義と時間(日本のイディオクラシー;酔生夢死の国で ほか)
4 共同体と死者たち(倉吉の汽水空港でこんな話をした;自戒の仕掛け ほか)
著者等紹介
内田樹[ウチダタツル]
1950年東京生まれ。思想家、武道家、神戸女学院大学名誉教授、凱風館館長。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専門はフランス現代思想、武道論、教育論など。『私家版・ユダヤ文化論』で小林秀雄賞、『日本辺境論』で新書大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
52
ブログ記事や色々な媒体に発表した文章を大幅に加筆の上にまとめた論集。かような時局的なタイトルになったのは、<いくつかの論考が今回のパンデミックで可視化された日本社会を深く蝕んでいる「病毒」を扱っているから>。最終章に、大瀧詠一・橋本治・加藤典洋・吉本隆明という、4人の死者へ向け書かれた文章を収録。<この論集は「尖った言葉が行き交う現代日本社会を憂えて、人に親切に接しようとしている男が、思い余ってつい『尖った言葉』を口走ってしまう」典型的な事例としてお読みいただければと思います>と、相変わらずの内田節だ。⇒2023/01/06
ヒデミン@もも
47
隣組と攻撃性のようなことがコロナ禍の初期に身近でも起こった。人間って変わらない学ばないと感じたが、コロナ禍で私達が気がついたことも多い。普通の日常生活の大切さなど。大学がオンライン授業になってから脱落する学生が少なくなったそうだ。オンラインの方が個々に識別できて、社会的承認欲求が得やすいらしい。確かに大学の大きな教室でひっそりと姿を消すのは容易いかも。自宅に八割型読んでない本を飾ってる話しも面白かった。2022/10/08
ま
36
「歴史家は『起きたこと』については『それはなぜ起きたか』を説明してくれるが、『起きでもよかったのに起きなかったこと』については『なぜ起きなかったのか』を教えてはくれない。」(p63)「政治家が『文句があれば次の選挙で落とせばいい』とか『みそぎは済んだ』というような言い回しを好むのは、直近の選挙結果が政策の適否を判定する最終審級であり、歴史的な審判などというものは考慮するに及ばないと彼らが本気で信じているからである。」(p218)2023/06/23
さきん
32
政府のコロナ対策は後手に回ってしまい、著者がずっと携わってきた大学改革も院生の割合減少、研究そのものの減少によって、失敗したといえるが、官僚の論理だと何か動いた、新しく委員会を設立した、コストを削減したことが成功の定義なので、常に成功という扱いになってしまう。それを咎めるデータを持った研究は少なく、政治家もマスコミも弱みを握られていて踏み込めない。コロナはあらゆる問題をより明るみに引っ張る力があったと思った。2021/12/03
tokko
27
コロナが私たちに突きつけた問題は大きくて多い。その最たるものは我々は危機的状況に弱いという事実だった。誰もがつらいこの異常事態で、政治家を筆頭に「自分のことしか考えていない」人々がこの国の大半を占めるようになってしまった。自由が制限されてしまった時にどうすれば自分の自由だけを優先して最大化することができるか、ということを言い募る人を多く見たように思う。これから年を経て収束に向かうのだろうが、この大人災は我々が語り継いで後世が同じ轍を踏まないようにしなければならないだろうな。2021/11/06
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