出版社内容情報
妻子の待つ武漢へ、新型肺炎が蔓延し封鎖された中国をゆく男の決死行。中国からの亡命を余儀なくされた作家が放つ渾身のコロナ文学。
内容説明
二〇二〇年一月、新型コロナウイルスの感染爆発を受け、中国政府は武漢市封鎖令を発出した。歴史学者・艾丁がドイツから帰国したのはその日のことだった。彼の妻と娘は武漢にいる―すべての交通手段が遮断された病毒の街に。強制隔離で足止めされた艾丁のもとに、妻や友人からコロナ禍の中国の悲惨な声が届く。次々に死を遂げる民衆。死体を詰め込んだトラック。病者と死者が群れをなす病院と火葬場。ウイルス発生源をめぐる内部告発は当局によって消され、告発者も姿を消す。武漢にはウイルス研究所があった。そこは蝙蝠のウイルスを研究していた。研究所内部から発された警告も闇に葬られた…オートバイで、舟で、あるいは辺境の村を抜けて、武漢へ向かう艾丁。彼を待つ底知れぬ闇とは?天安門事件を批判して投獄され、ドイツに亡命した文学者が、中国政府による“コロナウイルス制圧”の物語を告発し、コロナ禍の中国の「真実」を叩きつける長編小説。
著者等紹介
廖亦武[リャオイウ]
1958年、中国、四川省に生まれる。若くして詩作を開始、前衛詩人として「体制側」の賞を多数受賞する一方、多数の地下文学刊行物を編集。89年に天安門事件を告発する長詩『大虐殺』を発表、これと対を成す映像作品『安魂』を制作したことなどにより反革命煽動罪で逮捕、4年間の獄中生活を送る。出獄後の95年にヘルマン/ハメット賞を受賞。大道芸人として生計を立てながら中国内の下層の人々の声を収集し、2001年に「老威」名義で発表した『中国低層訪談録』(邦訳、集広舎)はすぐに発禁となるも、03年のフランス語版で2度目のヘルマン/ハメット賞を受賞、英語版も出版された。2011年にドイツに亡命、現在も同地で活動をつづける
福島香織[フクシマカオリ]
1967年、奈良県生まれ。大阪大学文学部卒業。ジャーナリスト。産経新聞社に入社後、98年より上海・復旦大学で語学留学。2001年より香港、北京で特派員を務める。09年に産経新聞社を退社してフリーとなり、主に中国の政治経済社会をテーマとしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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