出版社内容情報
「人間への見方が新しく変わる」ーーユヴァル・ノア・ハラリ(『サピエンス全史』著者)推薦!
「希望に満ちた性善説の決定版!」ーー斎藤幸平(『人新世の「資本論」』著者)推薦!
「邦訳が待ちきれない!2020年ベスト10洋書」WIRED日本版選出
本国オランダでは発売忽ち25万部突破ベストセラーに。世界46カ国での翻訳が決定。
近現代の社会思想は、”性悪説”で動いてきた。だが、これらは本当か。
×ホッブズいわく「万人の万人に対する闘争」
× アダム・スミスによると、人は損得勘定で動くホモエコノミクス
×ダーウィンが唱えた、自然淘汰説
×ドーキンスは『利己的な遺伝子』を執筆
×少年たちのいじめ本性を描いた『蠅の王』がノーベル文学賞
著者は、この暗い人間観を裏付ける心理学や人類学の定説の真偽を確かめるべく
世界中を飛び回り、関係者に話を聞き、エビデンスを集めたところ意外な結果に。
?スタンフォード大の囚人実験(普通の人間は邪悪になれる)
?ミルグラムの電気ショック実験(アイヒマン実験は)
?イースター島絶滅は人間のエゴ説(ジャレド・ダイアモンド)
善人が悪人になってしまう理由とは。なぜ人類は生き残れたのか。
これから生き延びるためにどうすればよいかが書かれた「希望の書」。
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akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
148
現代社会は「人間の本性は悪である」を前提として成り立っている(宗教、国家、経済、社会、教育)が、著者は、その証拠の一つ一つに丁寧に反証を加え、「人類の本性は善である」ことを徹底して主張した著作。「サピエンス全史」が「サピエンスがネアンデルタール人に出会った後に起きたことは、史上初の最も凄まじい民族浄化作戦」とした考えを否定し、人間の本性に対する悲観的な見方は、多元的無知の一形態だと断ずる。数々の心温まる事例に感激しながらも、それを一般化できない現実とのギャップに、気持ちの整理がつかない読後感でもある。2021/09/17
ベイス
68
人間は信じるに足る、信じれば物事は好転する、信じる勇気を持とう、という著者の仮説がさまざまな事例を通して裏付けられていく。子どもの教育から企業経営、戦史からテロリストとの対話まで、多岐にわたり話が拡散しかけるが、著者の主張は首尾一貫している。歴史が好きで読書を通して学んできているつもりだが、今後はより複眼的な読み方ができるようになると思った。また「共産主義」を私たちは当たり前のように実践している、という指摘はなるほどと思わされた。2021/10/15
よしたけ
63
下巻では人類が多くの悲劇を生んだ理由を考察、共感する力や思い込みをあげる。仲間内共感が強くなりすぎ、他者を殺戮する悲劇が生まれる。戦争では前線からの距離が遠くなればなるほど、憎しみは増大。行政機関、居間、パブでは、敵への憎しみは強かったが、前線では兵士たちが相互理解を深めていたエピソードが頻出する。近年の分断を嘆き、大企業CEOが共感忘れ営利主義に走る姿を嘆き、彼らは赤面を忘れたとこき下ろす。筆者主張はベーシックインカム導入やコモンズ復活による助け合い。理路整然と綴られる性善説を目にし社会貢献欲が高まった2022/02/05
tamami
63
少しばかり唐突ではあるが、本書を読みながら私は、日本の縄文時代とその社会の事を考えた。縄文社会では経済的格差は少なく、権力を駆使しての争いもなく、狩猟採集と原始的な栽培の生活が一万年以上に渡って続いたとされる。本書の上巻では個人の資質が生み出したとされる社会での争い事とについて、実験や考察の結果を再吟味することで、個人の資質の善であることを証明する。下巻では、それを歴史の事例に求め、様々な争いの中であっても、人々の間の善き交流が様々な対立を解消し、国家のあり方までも変えてきたことを立証しようとしている。→2021/11/15
本詠み人
56
上巻では有名な過去の心理学実験の誤謬を、丁寧なロジックで正し、人の本質は善であることが記された。こちらの下巻では、人を悪へと向かわせるものや、私の知らなかった世界中の成功例が描かれていた。中でも共感の功罪には驚いた。そして読了後、人を信じることに臆病になっている自分に気づかされた。私だけでなくきっと多くの人が、いつの間にか人の善性を心からは信じられない大人になっている。エピローグにある著者の人生の指針には勇気を、この著書からは確かな希望を得た。手元におき折にふれ再読をしたい…そんな素晴らしい本だ✨2022/06/18