出版社内容情報
老夫婦が暮らす郊外の平凡な家にふと現れる、怪しきものの影――「老い」や「記憶」をテーマにしながら、リアリズム小説でもあり幻想譚でもあるような文学の深みを覗かせる。練達の技で磨き上げられた八編の小宇宙。
内容説明
老夫婦が暮らす郊外の平凡な家にふと現れる、怪しき影―「老い」や「記憶」をテーマにしながら、文学の深みを覗かせる。時間によって磨き上げられた八編の小宇宙。
著者等紹介
黒井千次[クロイセンジ]
1932年、東京生れ。1955年東京大学経済学部卒。1970年『時間』で芸術選奨新人賞を受賞。1984年『群棲』で谷崎潤一郎賞、1995年に『カーテンコール』で読売文学賞、2001年に『羽根と翼』で毎日芸術賞、2006年に『一日夢の柵』で野間文芸賞を受賞。1987年から2012年まで、芥川賞選考委員を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nana
85
表紙から不穏な空気が漂うので、ドキドキしながら読んだこと全くそんなことはなかった。老人の日常。2021/09/16
くろにゃんこ
29
とても丁寧に書かれていてその描写に自分の頭がついて行けず、よく分からずに終わったりもした。途中までは短編集だと思っていたが、連作短編で同じ老夫婦の話だと気付く💦静かに日々が過ぎ、わずかに変化が訪れる・・・それが老い。表紙のイメージもあって常に何か起こるのではと不安が付きまとう読書でした。 2022/04/03
愛玉子
28
些細な諍いはありつつも穏やかに暮れていく老夫婦の日常に、ふと紛れ込んでくる違和感。それは現実なのか或いは老いた脳が見せる幻影なのか。だがその先に物凄いことが起こるでもなく、淡々と日常は続いていくのだ、多分。「老後」というけれど、七十代でも八十代でも(ちなみに黒井氏は今89歳だ)何かの後などではなく、誰もが過去から現在、未来へと続くひと続きの流れの中にいるという事。若い頃は全く実感できなかったが(おばあちゃんって、生まれた時からおばあちゃんだったんでしょ?)実感できる年齢になってきたようだ、と感慨深く読了。2021/09/25
ひほ
24
父が最近お気に入りの作家さんで今度この本を読むというので共読。曖昧模糊とした世界観でいまいち私は苦手な感じ。超現実主義の父はこれを読んでどう感じるのだろう?そっちの方が興味あるかも。2022/05/11
タピオカ
24
老夫婦の日々の暮らしのリアリティにクスッとしたり関心したり。時々、夢か?現実か?そう見えてくるものなのか?というところもあり。しみじみと味わい深かった。 2021/09/19