出版社内容情報
「あんた、ゴミサトシって知ってるか?」
元刑事の河辺のもとに、ある日かかってきた電話。その瞬間、封印していた記憶があふれ出す。真っ白な雪と、死体――。あの日、本当は何があったのか?
友が遺した暗号に導かれ、40年前の事件を洗いはじめた河辺とチンピラの茂田はやがて、隠されてきた真実へとたどり着く。
『スワン』で日本推理作家協会賞、吉川英治文学新人賞を受賞。圧倒的実力を誇る著者が、迸る想いで書き上げた大人のための大河ミステリー。
内容説明
真っ白な雪と、死体。遠ざけたはずの過去―40年前のあの日、本当は何があったのか。いまになって届いた友からの謎かけが、元刑事の魂を、揺り動かす。長野県上田市と松本市、そして東京を舞台に紡がれる暗号ミステリーは、40年の時を経て、真実へとひと走る。友情をあきらめなかった男たちの物語。
著者等紹介
呉勝浩[ゴカツヒロ]
1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。2015年『道徳の時間』で第六一回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。18年『白い衝動』で第二〇回大藪春彦賞受賞。20年『スワン』で第四一回吉川英治文学新人賞、第七三回日本推理作家協会賞受賞。第一六二回直木三十五賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
327
呉 勝浩は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。 本書は、純文学ノワール・大河ミステリでした。『スワン』が良かったので、期待して読みましたが、600頁使ってこれだけかよという感じです。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639132782021/03/11
ウッディ
205
学生運動の犯人逮捕に協力し、かつて「栄光の五人組」と言われた幼馴染の一人が殺され、彼が残した5行詩の暗号を解くため、40年前の過去と向き合うことになった元刑事の河辺。時を経ても変わらない思いとそれぞれが抱えていた後悔と食い違いが交錯しながらも、真実が明らかになっていく。ハードボイルドなタッチで描かれた600頁近い大作、同じ時間を共有し、忘れられない経験を共有し、心に抱え続けた仲間たちの想いが、ノスタルジックに心に響いた。ミステリーとして、消化不良な気もしたが、読み応えのある一冊だった。2022/03/07
パトラッシュ
204
「地獄への道は善意で舗装されている」という。栄光の五人組は無論、竹内一家やチェ一家も誰ひとり悪意を持っていなかった。誰もが善意や未来を信じて行動したのが思いがけない惨事を招き、生き残った関係者は「取り返しのつかない真実」を抱えて生きねばならなくなった。当然、誰もが鬱屈に苦しみ、底辺をさまようか死に急ぐなどろくな人生を送れなかったが、どれほど苦しくても河辺は昔の仲間の死に金の匂いを嗅ぎつけた連中を払いのけて「心の命じるままに」真実を突き止めた。誇りを守り通した人生を美しいと認識したラストは本当に美しかった。2021/03/05
美紀ちゃん
172
第165回直木賞候補作。金塊を探す話!と期待しながら読んだが長かった。主人公の河辺さんの要点のまとまった話し方が知的だと思っていたら、なるほど元刑事。過去の殺人事件と、暗号を通したその謎解き。キョージュの日記、レコード、5人組に絡まる謎が解けていくあたりが、ドキドキした。おれたちの歌の意味深さを実感。検索してロックを色々聞いた。それも楽しかった。バカボンの歌、ヒア・カムズ・ザ・サン、ズンドコ節等も。ゴダイゴはわかるけどイエロー・センター・ラインは聞いたことがなかった。ドラマになりそう。2021/08/12
のぶ
158
週刊誌の書評で好意的な評価を受けていたので読んでみた。600ページにも及ぶ力作だが、自分には合わなかったようだ。元刑事の河辺のもとに、電話がかかってきた最初は良かった。この先は「栄光の五人組」という人物たちを中心に、長野を舞台にして、40年に渡る長いミステリー仕立てにしたかったのだろうが、物語を貫く柱がはっきりしないので、読んでいて話に入り込めない。重ねて文章が散漫で話題の脈略がはっきりしなかった。辛口になりましたが、これは読み手の問題だと思うので、他の方のレビューも読ませてもらおうと思います。2021/03/30