内容説明
高平君がうちに来て、涙ながらにいなくなった猫の話をはじめた、聞けば聞くほど私が外で世話していたキャシーそっくりだった。高平君のレディはみつかるか?ささやかな命の輝きを刻む小説集。
著者等紹介
保坂和志[ホサカカズシ]
1956年、山梨県生まれ。鎌倉で育つ。早稲田大学政経学部卒業。1990年、『ブレーンソング』でデビュー。93年、『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年、『この人の閾(いき)』で芥川賞、97年、『季節の記憶』で平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞、2013年、『未明の闘争』で野間文芸賞、18年、『ハレルヤ』所収の「こことよそ」で川端康成文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
212
2/22用に図書館に予約していましたが、配本の関係で3月に読みました。ペットロスの名作絵本『チャーちゃん』に続いて、保坂 和志、2作目です。私小説とエッセイの中間の様な不思議な味わいの短編集でした。野良猫はやっぱり身体を触らせないことが良く解りました。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639131482021/03/02
みかん🍊
94
猫というのに惹かれててにとったが1章2章は家の中でも猫を飼っているが、外猫にも毎日餌をやり一時期増えすぎた猫を避妊手術もして長年の内に2匹になってしまったがその猫が来なくなってしまった、うちの猫と思っていたが他にも通う家があったのか、同じ様に猫の世話をしている友人との猫談義と猫愛溢れたエッセイ?だったが、後は猫はほぼ出てこずザッと流し読みして挫折、芥川賞作家さんらしく読みにくく挫折してしまった、古い本かと思ったら今年発行されてたのね。2021/06/12
kei302
64
何も起きないけど、何だか懐かしい気持ちになる、句読点を打つルールが独特、時代小説から現代にシフトした乙川優三郎氏の文体と似ている、同じ、たぶん、保坂氏が先、知らんけど。(まねしてみました)「猫がこなくなった」「特別に忘れがたい猫」「ある講演原稿」「秋刀魚の味と猫算」「花揺れ土呟く」「カフカの断片」「胸さわぎ」「『事の次第』を読んでる」「夜明けまでの夜」タイトルを見ただけで気になる気になる気になる。キミコのまねして三回言ってみました。猫に期待せずに読みましょう(=^..^=)ミャー2021/03/04
フリウリ
26
「猫がこなくなった」は、保坂氏の猫関連小説のなかでは、もっとも猫のことがよくわかったという気がしました。保坂氏は猫のことになるとやたら理屈っぽい(本書所収の「夜明けまでの夜」も)わけですが、「猫がこなくなった」では猫好きの二人の間では、理屈を言葉化しなくても会話は進むことが描かれていて、かえって猫のこと、猫にこだわる人(著者も)のことがよくわかるように思いました。保坂氏の小説は、わたしには、よいものとそうでないものが分けられるのですが、そういうことはないでしょうか? だから、どうともないのですが。82023/12/14
たびねこ
20
相変わらず、猫を中心にした短編集。表題作の「猫がこなくなった」は、家にやってくる猫が自分の家以外では、どうふるまっているかをこと細かに描く。猫好きでなければ読むのはしんどいだろう、著者以外書けない作品。猫の生死をパラレルワールド的にとらえる「夜明けまでの夜」も難解ながらユニーク。もはや哲学の境地。2021/08/08