出版社内容情報
日本を揺るがした黒川検事長の定年延長問題。その舞台裏を名実ともに検察取材の第一人者である著者が極秘情報を駆使して描き出す。
内容説明
2016年夏に勃発した官邸vs.検察庁の人事抗争から、2020年「定年延長」騒動にいたる暗闘の裏側を、数々のスクープを放った検察取材の第一人者が極秘情報を駆使して描き出す。
目次
序章 毒が回った政権
第1章 黒川と林、そして稲田
第2章 16年夏の陣―事務次官人事への介入
第3章 17年夏の陣―黒川続投
第4章 17年冬の陣―3度目の正直を拒んだ上川法相
第5章 官邸の守護神の実像
第6章 苦肉の策
第7章 河井捜査とコロナ禍騒動
第8章 法務・検察の迷走
第9章 「決着」と「総括」
著者等紹介
村山治[ムラヤマオサム]
1950年徳島県生まれ。73年に早稲田大学政経学部卒業後、毎日新聞社入社。大阪、東京社会部で司法担当、遊軍記者として取材。91年、朝日新聞社に入社。社会部遊軍記者として、バブル崩壊以降の大型経済事件の報道にかかわった。17年11月、フリーランスに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
34
今回の黒川検事長の定年延長問題に絡む検察内部のドロドロとした抗争劇。詳細を描いているのだが、いかんせん検察マニア以外には専門的すぎる内容のような気がします。さらにあのコロナ禍のマージャンを報じた文春砲の方のインパクトが強すぎて‥‥。個人的には、森友問題をめぐる近畿財務局の二重構造や、あの公文書改竄を立件しなかった理由の推察、大蔵官僚の過剰接待事件で起訴されたキャリア官僚が○○でフーゾク通いしていたなど、さらっと触れている幾多のトリビアネタの方が興味深い。2020/12/02
サトシ@朝練ファイト
21
内容としては定年延長に関わるものなのだが、ここでも忖度が働いていたか?それよりも検察の起訴基準の項目がとても興味深いと思った。2022/03/26
イエローバード
11
去年の春の騒動〝K川を検事総長にしたい安倍VS検察庁”の裏側を丹念に描いた作品で、すべて実名なのですごくクリアにわかる。ことの真相についてはさておき、検察官のキャリアパスを含め、検察と法務省の関係を本書で初めて知った。ン十年も日本国民をやっているのにそれってかなりマズイと感じ、もう少し世の中を勉強しようと思った次第(笑)。2021/02/02
伊田林 浮刄
10
★★★☆☆官邸とそれに阿る雀士黒川vsそうはさせじと林を後釜に推す正義の稲田検事総長…そんなイメージを覆すような本書。民主党時代から政界ロビイストとして時の政権に重宝されてきた黒川。彼は自分が総長に就いても色眼鏡で見られるだけで百害あって一利なし、林がやるべきと思っていたがそんな本人の意思とは別に桜やモリカケ河井夫妻等を抱えた官邸は自分たちの守護神にすべく政治の検察人事への介入という一線を越えてしまう(黒川的には「そんなん官邸に期待されてもできるわけないじゃん」と考えてたフシもあり)(コメント欄に続く)2021/01/17
ほうすう
9
一時期はツイッターですら盛んに盛り上がっていた検察官の定年延長問題。何故あれほどネット上で盛り上がったのかいまだに不思議ですが本書でもそれに関して考察していたわけではなかった。過去にさかのぼって検察庁の内部人事の問題から定年延長問題について取り扱ったもの。これだけ読むと組織間の対立に巻き込まれた黒川さんが一番かわいそうといった印象を受けた。それにしてもいい年をした大人が年齢の一つ二つの違いでさほどにもめるのかと。黒川さんも安倍首相もたいして乗り気でもない法案。結局何がどう悪かったのか不思議な事件ですね。2021/08/19