内容説明
コモン(共有地)の再生が日本の活路を開く!分断を超えて、新しい共同幻想が立ち上がる希望の書。
目次
1 “公共”を再構築する(国家は市民が作った人工物である;「コモンの再生」が始まる ほか)
2 これからの政治を語ろう(「美しい国」に対峙する政治思想はなぜ生まれないのか?;「共謀罪」は「パノプティコン」装置である ほか)
3 隗より始めよ(瞑想のやり方について;フランス語の動詞“se d´ebrouiller”の意味とは? ほか)
4 ゆらぐ国際社会(米とキューバの国交回復にどんな意味があるのでしょうか?;不動産王の「壁作り」はなぜ支持されたのか? ほか)
著者等紹介
内田樹[ウチダタツル]
1950年東京生まれ。思想家、武道家、神戸女学院大学名誉教授、凱風館館長。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専門はフランス現代思想、武道論、教育論など。『私家版・ユダヤ文化論』で小林秀雄賞、『日本辺境論』で新書大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
52
コモン。その意味するところは広いように思う。そんな一部分に、いろいろな形で関わっているように思うので、参考になる視点が多い。明らかに、後退しているというか、退化しているこの国のありよう。とはいえ、何もしないのは辛い。次に何を残すのか・・この1点。人のありようにもつながる。2021/03/25
ヒデミン@もも
48
『コモンの再生』なんて堅いが対象は、メンズファッション雑誌GQの読者。こんなに誰にでもわかりやすく時事問題から他愛のない質問まで、すらすらと。さすが、内田樹さん。新幹線の車内でさえマウンティングを取りたがるオジサンの話や麻生太郎さんの話しとか失笑。迷走する東京五輪まで当ててしまうなんて笑えない。このコロナ禍で、確かに私たちはコモンの必要性を実感した。2021/01/16
Tenouji
28
気軽に読める内容。雑誌「GQ」の読者質問に著者が答える形。とはいえ、グローバル資本主義末期の社会課題が端的に語られていて、読後にジワジワ効いてくるw。個人的には、スマホを日常的に使いながら、未来を感じれない社会って何なんだろう…と考えてしまった。が、この書の「騎士団長殺し」の論考から考えると少し整理できた気がする。IT技術は未来の技術だったのにね。邪悪なものと結びつくとダメ。それを防ぐのは人間の情理なのかもしれない。2020/11/25
ta_chanko
23
「人新世の資本論」と同時に読んだので、理念的な共通点を感じた。あらゆるものが私有化・商品化され、レッドオーシャンの中で競争を強いられ、格差は拡大し、人心は荒廃し、どんどん世知辛い世の中になってきている。いまこそコモン(共有地)を再生し、人々が互いに責任と負担を共有しながら、手づくりで社会を構築していくときではないか。国家・巨大企業などの大きなものに巻かれ、飽くなき経済成長を求める消費社会にどっぷり浸かってしまうのではなく…。社会の一員として、できることから一歩ずつ。2021/03/08
Sakie
21
GQのQ&A式トーク書き起こし連載。2016年から2020年までで触れられた東京五輪の失敗も、新型コロナのパンデミックも、まさかこのようなことになるとは、と嘆息するしかない。さてベーシック・インカムについてのトピック。ベーシック・インカムが奏功するためには、社会が開放的で流動的である必要があると内田先生は説く。裕福に暮らすには足りない程度の収入が国から支払われるとして、日本人はどのくらいそれを堂々と受け取り、自らの価値を貶めず、利他的になることができるのだろう。私の今までの想像は楽観に過ぎたのか。2021/08/26