出版社内容情報
「地獄は続いている。しかし、今のほうが良く生きているとも思う」病に倒れてなお創造的に生きるとは──「巨人」の壮絶な闘病ドキュメント。
内容説明
今も地獄は続いている。しかし、今のほうが良く生きているとも思う。NHKスペシャルのディレクターが描く、「鈍重な巨人」多田富雄氏の壮絶な闘病と寛容で豊かな生き方。四月に世を去った多田氏の遺言となるドキュメント。
目次
1 鈍重な巨人
2 撮影開始
3 前立腺がん
4 リハビリ
5 多田さんの日常
6 夫婦のかたち
7 原爆忌
著者等紹介
上田真理子[ウエダマリコ]
1968年生まれ。1990年NHKにディレクターとして入社。福岡放送局、報道局などでニュースや報道番組にたずさわる。現在は衛星放送の番組を制作している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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zoe
21
インタビューを通じて、著者が師弟関係を結んだことがよくわかる本。社会人になってから、人生の師と仰げるような方と一緒に仕事をできる機会などそう多くはなく、羨ましい。脳梗塞と癌を生きる学者が、ありのままに全てをさらけ出して著者に応える。リハビリは維持期の患者に重要、さらに単に機能回復の訓練ではなく、人間の尊厳を取り戻すことである。病により、今まで知らなかった能力を知る創造的な営みの機会を得る。暗闇から光を奪い取ってくる努力と表現。戦争は、石ころかこん棒ですればいい。最後は目頭が熱くなります。2020/03/01
takao
2
ふむ2022/11/28
みゅいる
0
私の人生に多大に影響した人。多田先生。先生の本には色々なことを教えられ、考えさせられてきた。リハビリとはどんな仕事なのか、患者はリハビリに何を望むのか、リハビリの真髄とは何なのか…。私が悩んだとき、その答えは先生が教えてくれたような気がします。心の中の靄が晴れた気がして、感謝の気持ちでいっぱいです。今後も読み返す度、こんな気持ちになるのでしょう。2014/07/01
とんきち28号
0
生きる意欲をにじますただ先生と、支えたスタッフの努力。NHKの番組もかくも努力して作られているのに敬服。2012/05/03
katta
0
世界的な免疫学者・多田富雄が今年の4月にガンで亡くなった。2001年、脳梗塞で倒れた後も、旺盛な執筆と世間への抗議を忘れない知の巨人だが病には勝てなかった。本書は2005年に製作されたNHKドキュメンタリのディレクターがせおの制作ノートとして書いたものだ。半身と声を失いながら、懸命にリハビリに挑む姿に頭が下がる。テレビならではの傲慢さも素直に書き表すと、これはこれで好ましい。人が生きるとは何なのか、考えさせられた。2010/08/26