内容説明
87才の孤高の作家は亡くなる前日までこの小説を書いた…。絶筆となった「落葉日記」を含む最後の作品集。
著者等紹介
勝目梓[カツメアズサ]
1932年、東京に生まれる。さまざまな職業に就きながら、『文藝首都』の同人として小説を発表。四十代になって、純文学から大衆文学に転向する。1974年に「寝台の方舟」で小説現代新人賞を受賞し、ハードボイルドの流行作家として長く活躍した。2006年に初の自伝的小説『小説家』、2007年に『老醜の記』を刊行し、多くの作家や評論家に絶賛された。2020年3月3日、永眠。三百二十冊以上の単行本を上梓している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
190
勝目 梓は、永年に渡って読んでいた作家です。本書は、遺作にて絶筆、米寿近くまで現役で書き続けていたことが凄い。オススメは、『とばっちり』&『落葉の記』です。いずれも老練の域、味のある作品でした。三百二十二冊を上梓した孤高の作家、勝目 梓に感謝するとともに、衷心よりお悔やみ申し上げます。【冬枯れの読メエロ部】2020/11/16
スリカータ
20
遺稿、絶筆になった日記が生々しい印象…途絶えることの生々しさ。冒頭は飼猫の死。妻の不在中に勝手に庭に埋めたことで一悶着。ちょうどその頃、私は飼猫の重病が発覚し、延々と続く看病生活が始まったので、著者の中に対する冷ややかな眼差しが耐え難かった。2021/03/21
ふゆ
7
新聞書評より。図書館で見かけた時に、その表紙のブルーインクのかっこよさにやられました。勝目梓と言えばエッチでバイオレンスで多作で、オジサンの読み物というイメージです。この本は違った。しみじみとした大人の本でした。うら寂しさと大人の諧謔、前よりも後ろを振り返る人生。男と女の情愛の形が、短編と日記体の長編で描かれていました。年をとるのも悪くないな。2021/06/13
ま
4
老人が自分の健康維持を最優先事項にするか否かは、当人の人生観、健康第一を金科玉条(きんかぎょくじょう)と心得、味気ない日々を送るのは幸福な事だろうか。有為無常、時代とともに世の中は変わる。病んで無力となった伴侶を慈しむ心を失わない人でありたい。認知症が何よりも恐いのは、認知による人格の崩壊。生老病死(しょうろうびょうし)生そのものにすでに大きな意義がある。理屈どおりにいかないのが現実、人の心には矛盾も付き物、計り知れない。親と死別した悲嘆や寂しさは、残された子供の年がいくつであっても変わらない。2020/12/02
chuji
2
久喜市立中央図書館の本。2020年10月初版。初出「オール讀賣」2017年5月号18年1月号、5月号、10月号、19年2月号、7月号、20年2月号、「スペッキヲ」47号(2015年12月20日)~56号(2020 年6月20日)勝目さんの絶筆作品。梓さんは今年の雛祭りに亡くなった。最後の出版物にして、オイラは初読でした。日本の【ハードボイルド】と言えば、オイラ的には【大藪春彦】でした。2020/12/05