出版社内容情報
「論語」に描かれる神格化された姿ではなく、不運や失意にも苛まれた男の波瀾万丈を書いた大河小説。構想三十年にして最高傑作誕生!
内容説明
母の死、息子との対立、老境の旅路…。人間・孔子が生きている!構想三十年の大河小説。
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
1945年、愛知県蒲郡市に生まれる。早稲田大学文学部卒。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事、創作をはじめる。その後、帰郷。長い空白を経て、「王家の風日」を完成。1991年、「天空の舟」で新田次郎文学賞。同年、「夏姫春秋」で直木賞。1993年度、「重耳」で芸術選奨文部大臣賞。1999年度、司馬遼太郎賞。2001年、「子産」で吉川英治文学賞。2004年、菊池寛賞。2006年、紫綬褒章。2015年度、「劉邦」で毎日芸術賞。2016年、旭日小綬章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
241
人間孔子が描かれます。学びへの飽くなき探究、時代を読む確かな目、凛としたカリスマ性...やはりすごい人なんですね。師事する良くできた弟子たちも魅力的です。政治の乱れに翻弄されて漂流する姿が劇的です。「政治とは、先んずること(率先して行うこと)、労すること(ねぎらうこと)である」など学びも多い、格調高い一冊です。2021/05/04
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
146
春秋時代の中国の思想家、孔子の生涯を描いた作品。神格化されたものではない、人間・孔子の物語ということで、人間臭い逸話なんかも期待してたんだけど、ん~小説としてはどうなんだろ。国を追われての放浪の人生や弟子たちとの絆とかは理解できたけど、ただただ淡々と。読み物として少しはエンタメ要素のサービスがあっても良かったんじゃない、宮城谷先生!ってな感じ。求めるものが少し違ったのかも( ̄- ̄)ゞ2021/04/05
ふじさん
105
宮城谷昌光の「子産」で、孔子に敬仰された最高の知識人子産という表紙を見て、いつか孔子の生涯を知りたいと思って、この本を手にした。魯で生まれ、礼を理想の秩序、仁を理想の道徳とし、その理想の実現に一生を捧げた思想家。一時は、魯の司寇にまでにになるが道半ばで職を追われ、諸国を歴遊して理想の道を説き続けるが受け入れられることなく、時世の受け入れがた現状を憂いながも弟子の教育に力を注ぐ。ままならない人生を淡々と生きる孔子の姿には、生身の人間の苦悩が見え隠れする。読むのに苦労はしたが、読み応えは十分。 2023/01/13
南北
66
孔子の生涯を描いた小説。元になる資料は少ないと思うが、600ページに近い分量までまとめたのは感心させられた。家族関係がうまくいっていない箇所や亡命する際の経済的支援がどのように行われたかについての記述は興味深く感じたが、他の著書と比べるとややワクワクする感じに欠ける点があるように思った。礼の思想を普及したいという理想にこだわるあまり、小国が乱立する春秋時代の現実が見えていないように感じたのは残念なところだ。2024/07/24
R
62
孔子の生涯を描いた小説でした。論語を嗜まないので、どのあたりが創作かわからなかったけども、各地を流転しながら思想を深める先生という像ながら、後半は思想が深まりすぎて世間との乖離が大きくなっていた印象を持った。努力と思索の若い頃の話は非常に面白かったが、その反動で天に身を委ねる生き方が無責任にも見えてしまって、その思想の是非を考えさせられた。しかし、あれだけ転居を繰り返していて、言葉はどうしていたんだろうと、いらんことを気になった。日本における松蔭先生のそれに近い熱量を感じた。2021/05/08