出版社内容情報
飛び降り自殺した中学生の妹。背後にネットに潜むどす黒い悪意があることを知った姉はネット専門の凄腕探偵とともに敵を追い詰める。
内容説明
ネットいじめを苦に女子中学生が自殺。姉のアイはハイテク専門の探偵アニエの力を借りて、妹の死の真相に迫る―。『13・67』の著者がいま現在の香港を描き切った傑作ミステリー。著しい貧困の格差、痴漢冤罪、ダークウェブ、そして復讐と贖罪。高度情報化社会を生きる現代人の善と悪を問う。
著者等紹介
陳浩基[チンコウキ]
1975年生まれ。香港中文大学計算機学科卒。台湾推理作家協会の海外会員。2008年、童話ミステリ「ジャックと豆の木殺人事件」が台湾推理作家協会賞の最終候補となり、翌年「青髭公の密室」で同賞受賞。2011年『世界を売った男』で第2回島田荘司推理小説賞を受賞。2014年の『13・67』は香港の現代史に材をとった連作長篇で、世界的に高い評価を受ける。日本語版が2017年に刊行されると「週刊文春ミステリーベスト10」や「本格ミステリ・ベスト10」の海外部門で第1位を獲得した
玉田誠[タマダマコト]
1967年、神奈川県生まれ。青山学院大学法学部卒。台湾において日本ミステリーの紹介や台湾ミステリーの評論を行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
192
読み友さんのレビューに誘われて…開いた途端に上下2段に気持は萎えて、おまけにカタカナ多くて挫折かもと読み始める。ネットの仕組み等、いまだにアイ以上に理解できない私だが(かなりスルーして)読み切った~そして案の定騙されて心地いい読後感だった。もうあの兄がアイツだとばかり…香港が舞台だもの漢字も多く、間違った読み方もそのままに読み進んでも無問題(汗)便利で怖いネットの世界だが、結局は使い方、使う人間次第なんだよね。どこかでまた、アニエに会いたいな。2021/02/26
みっちゃん
190
ああ、やられた!タイトルは作者の造語「ネット」の「中」の「人」という意味とか。事実無根の中傷をネットに書き立てられて命を絶った妹を「殺した」犯人を暴く。でも依頼した探偵がいかにも胡散臭くていけすかない男。主人公のネットに関する頓珍漢な質問はそのまま、私の言葉である。やがて明らかになる真相は、これは主人公には辛いよなあ…とため息つきながら頁を捲った最終章、マジで驚いたよ。嘘でしょう⁉️作者のミスリードにまたまんまと嵌められていた。が、そんな自分が「こりゃあいっそ気持ち良いわ」と思えるスッキリ!の読後感だ。2021/01/26
ちょろこ
164
情報網の中をかいくぐる一冊。妹がネットいじめで自殺…姉のアイが探偵アニエの力を借りて死の真相に迫るミステリ。ネット社会、膨大な情報網に潜り込み幾重にも張り巡らされた網をかいくぐるような気分を楽しめた。スルッと頭の中に仕組みや暗部が入り込んでくるのはもちろん、緻密な網の中の細い糸をスルッと掴み真相に迫る過程は実に面白い。すんなり辿り着いたかと思いきや、まだまだ!を味わえ、最後はアニエと結末に爽快感なるものを得られた。現代人としてネット社会での心得ていくべき数々の言葉、姉妹のせつない心情と読み応えのある作品。2020/12/18
とん大西
140
IT系偏差値が私の場合だと原始人レベルなので、最初は少し戸惑いました(^o^;)。でもでも…中盤から後半にかけての怒涛の畳み掛けにもう頁を捲る手が止まらない。姿なき画面の向こうの誰か。ネット炎上で死に追いやられた妹の仇を討つべく躍起になるアイ。犯人探しを請け負った鬼才の探偵アニエ。ネットに潜む悪意と漂う偽善が彼らの捜査で露になる。500頁が苦にならないストーリー展開と読後の爽やかな余韻。大技小技のトリックも油断なく効いていてミステリーの醍醐味も堪能できる。年末年始にオススメかも。2020/12/27
cinos
109
妹の自殺の原因になったSNSの投稿者を探すため、姉がハッカー探偵に依頼することから始まる前半のフーダニット、からの後半の復讐譚。そして怒涛の展開。2冊分の話をぶっこんだ濃厚でそれでいてICTの最先端と香港の今が読めるミステリ。本当に面白かった。この探偵コンピ?の続編が楽しみです。2020/10/31