駆け入りの寺

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  • サイズ 46判/ページ数 320p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163911953
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

落飾した皇女を筆頭に、高貴な尼がひしめく比丘尼御所。悩める市井の人々がその門を叩く――。雅やかで心に染み入る連作短編集。

内容説明

比叡山のふもとに建つ豪奢な比丘尼御所。二人の皇女を中心に公家文化が息づくこの寺に、それぞれの苦しみを抱えて逃げてくる者たちがいた。古い友人から借金をして逃げた老女。非の打ちどころのない縁談から逃げる若者。妻子を捨てて出奔した武士。幼子を寺の前に捨てる老夫婦。「僧尼とは古来、いたいたしい者を助け、手を差し伸べるが勤め」心があたたかくほどける連作短編集。

著者等紹介

澤田瞳子[サワダトウコ]
1977年、京都府生まれ。同志社大学文学部卒業、同大学院博士前期課程修了。2010年に『孤鷹の天』でデビューし、同作で中山義秀文学賞を最年少受賞。12年『満つる月の如し 仏師・定朝』で本屋が選ぶ時代小説大賞、13年に新田次郎文学賞受賞。16年には『若冲』で歴史時代作家クラブ賞作品賞と親鸞賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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鉄之助

240
こなた(自分)、そもじ(あなた)、いしいし(団子)、およしよし(人の良い)などなど…優雅な「御所言葉」がふんだんに使われ、味わい深い物語に仕上がっていた。”縁切り”の駆け込み寺・東慶寺(鎌倉)を舞台にした物語は、これまでもあったが、天皇の皇女を開基とする由緒ある林丘寺を舞台にした、「駆け入り」の連作短編集は珍しい。いろんな理由で、逃げてきた人、時には捨て子も緊急避難でやって来る。そんな時、寺は訳アリの人にとっての安住の地。そこで、再出発のきっかけを得る。「物事が流転して、一つの結果にたどり着く」。上手い!2020/09/06

修一朗

104
’御所ことば’に苦戦して時間かかりました。実は澤田さん御本人も書くのが大変だったそう。比丘尼寺の姻戚関係を含む相関図もこれまた複雑,なんとか読めたのでまぁ良し。DM亭主からの駆け込み話だけでなく逃げてくる対象はいろいろ,なんでも逃げて駆け込めばいいんです全部許します,の尼寺さんのお話でした。駆け入り寺比丘尼御所についても初めてで新鮮で楽しかった。鎌倉の駆け込み寺,’東慶寺だより’は積んだままでまだ未読なんです。でも読みますよ、そのうち。2020/08/07

真理そら

101
タイトルから駆け込み寺のお話かと思って読み始めたがそういう話ではあらしゃいませんでした。皇女を住持とする比丘尼御所(尼門跡)のおゆるゆるな日常の物語だった。雅な寺院の雰囲気と駆け入ってくる京都界隈の庶民のがさつさの対比がおもしろい。養い親から林丘寺へ勝手に逃げ戻った静馬の「逃げた」ということへの罪悪感が静馬の成長と共に変化していく様子がゆったりと描かれている。鷹峯の藤林家がチラッと出てくるたびにあの物語の続きを読みたい気分になった。この物語の舞台の寺院と住持は実在する。2021/05/14

タイ子

93
比叡山の麓に位置する林丘寺が舞台。駆け込み寺ではなく、天皇の血を引く皇女が開山した尼寺である。皇女や公家の姫が暮らす中で寺の開基である元瑶は職を姪に譲り今は隠居の身。青侍の静馬がこの物語の目となり描かれていく。それぞれが異なる連作短編集なのだが、一貫しているのはここに住む人たちそれぞれに過去があり、未だ苦悩を背負って生きていること。静馬の抱える過去の後悔と今の気持ちが悩める人たちとシンクロしながら展開していく。彼らの水先案内人となる元瑶の言動が胸をうつ。時にミステリ風に、またユーモアも交えて楽しめる作品。2021/07/22

のぶ

89
江戸時代の京都を舞台にした、澤田さんの連作集。京の洛北にある林丘寺(比丘尼御所)という尼寺で、そこに勤める梶江静馬の視点で物語は語られる。この寺、女性の駆け込み寺の役割も果たしており、ここで繰り広げられる人情噺あり、謎解きもありの様々な物語が描かれている。市井の話もあれば、比丘尼御所だからこその話もある。独特の京ことばが最初は読み難く、馴染みにくかったが次第に慣れ、それが美しさを感じるようになった。京都に生まれ育った澤田さんだからこそ書くことのできた一冊だと思った。2020/05/28

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