出版社内容情報
再開発計画に揺れるビルに現れた「喋るネズミ」、ポール。市議会議員たちやマスコミを引っ掻き廻したあげくの騒動の行方は?
内容説明
「僕の名前はポール」―再開発計画に揺れる駅前ビルに突如現れたのは、一匹の喋るクマネズミ!市議会議員の浦田さんの助けを得ながら、欲望うずまく人間たちの世界に飛び込んでいく。ついには、堂々市議会に登場し、大演説をぶつことに。マスコミも巻き込んだ騒動は、はたしてどのような結末を見ることになるのか?芥川賞作家が新境地に挑んだ仰天寓話小説!
著者等紹介
田中慎弥[タナカシンヤ]
1972(昭和47)年山口県生れ。山口県立下関中央工業高校卒業。2005(平成17)年「冷たい水の羊」で新潮新人賞受賞。08年「蛹」を収録した作品集『切れた鎖』で三島由紀夫賞、12年「共喰い」で芥川賞受賞。19年『ひよこ太陽』で泉鏡花文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヘラジカ
49
著者初読み、芥川賞受賞作すら未読。フレドリック・ブラウンの『星ねずみ』の続編かのような筋書き。マイノリティのネズミが言葉を持ち政治をかき回すというと、現実のあらゆる社会的ステータスに置換可能なように思うが、それは少し単純化しすぎだろうか。寓話的とは言っても会話や独白がとにかく迂遠で、展開も遅いんだか早いんだかよく分からない。語り手の饒舌さも間怠っこしく読んでいてとにかくイライラした。しかし、そのストレス感こそ著者が望んでいるものなのかもしれない。トーマス・ベルンハルトを思い起こす。正直苦手な作品だった…。2020/04/01
うえうえ
19
父親の意思に沿い、言葉を操り人間とネズミとの間に入ろうとする。でも人間にもネズミにも非難される。何か行動を起こした者、間に入ろうとする者は両方から非難される。言葉を知っているネズミはおまえだけじゃないのにとネズミが現れポールを責める。では言葉を知らないふりをすればよかったのか。ポールのような存在が世界に影響を与える。2020/10/07
decomo
3
あぁ、大変だった。疲れた。私にはよく分からない話でした。何かのオマージュ?なのか、あっち飛びこっち飛びで、私には理解しできないままでした。2020/07/16
八百蔵
3
まだ新刊の部類だろうが図書館の開架書棚にあった。ということは人気がない。読み出してすぐかなり億劫になったが最後まで読んではみた。小理屈、揚げ足取り、皮肉と嫌味で読みにくい。素材は面白いのに、俗で陳腐な取り上げ方なので、話の拡がりの範囲が狭い。本棚も納得だった。本の感想とは関係ないが、この本を読んでたら何年か振りに路上でネズミに出逢った。ポールかもなあ。2020/07/07
竹
2
書評に乗っていて、物語の設定(しゃべるネズミが人間社会を引っ掻き回す)にひかれ、図書館にて借りる。ネズミのポールの一人語りや、ポールが人間に宛てた手紙のパートはとにかく読みづらい。こう読みづらい日本語をよく書けたものだと関心してしまった。住まいとなっていたビルの跡地利用で、市議会議員と手を組み、話が展開し、期待を持たせてくれたが、読みづらさに引っ掛かり、終わってみれば、言いたいことが何だったのか、人間のエゴなのか、何なのか。今一つわからなかった。2020/06/29
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