内容説明
「あなたには、帰る場所がありますか」。「お遍路さん」を迎える場所としての道後温泉「さぎのや」。行く場所も帰る場所も失った雛歩は、この宿で自らの生き方と幸せを見つけられるか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
231
天童 荒太は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。魂の救済のやさしい物語で悪くはないですが、著者でなくても他の作家でも書けそうな作品です。著者は、もっとヘビーなテーマが良い気がします。妻の母方の実家が松山なのですが、道後温泉にはまだ行ったことがないので、そのうち訪ねてみたいと思います。 https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kanko/kankoguide/kankomeisho/dogoonsen/rekishi/shirasagi.html2019/10/29
しんたろー
215
久しぶりの天童さんなので気合を入れて向き合ったが「あれっ?」と表紙を見て著者を確かめた…『永遠の仔』『悼む人』のような重い物語を想像していたので、軽めのタッチが最初の内は馴染めなかったが、これはこれで段々と心地好くなった。道後温泉を舞台に主人公・雛歩と周囲の人々の関わりがホノボノ、語り口調が少女漫画チックで、新たな天童さんを知れた。雛歩のキャラがオジサンには微笑ましくて、言葉を知らないゆえの勘違いもオヤジギャグぽくて笑えた。街、祭、食べ物、自然が目に浮かぶのが嬉しいし、優しい想いが伝わってくる癒しの一作。2020/08/27
旅するランナー
213
道後温泉ファンタジー。ちょっと鬱陶しく感じる女の子、雛歩ちゃんの成長物語。彼女の最後の頑張りには感動します。そして、縁もゆかりもなくても、困っている人のために、汗をかける自分でいられるかを問われます。命があることの意味みたいなものも理解できるかもしれません。天童荒太さんが出身地と人々を魅力的に描き、三沢厚彦さんが素敵な挿画を提供しています。きっと、道後温泉に行って、さぎのやの女将さんにお会いしたくなります。2020/01/21
のぶ
136
天童さんらしい、愛と優しさに溢れた作品だった。舞台は松山の道後温泉。冒頭に雛歩という15歳の少女がさまよっているところを保護される。「あなたには、帰る場所がありますか」と問いかけられる雛歩。遍路の宿「さぎのや」の女将に保護され、少しずつ心を開いていく雛歩。物語に道後温泉を舞台にしてお遍路さんを盛り込んだ事で温かい印象を受けた。自らの生き方と幸せをどうしたら見つけられるのか。天童さんの常にテーマとしているものが、本作でも表現されていた。ストーリーがやや平坦で、盛り上がりに欠けるのがマイナス材料。2019/10/25
ナイスネイチャ
133
図書館本。四国お遍路さんを支える旅館に転がり込んだ15歳の少女が温かい人達に囲まれ徐々に癒されていく物語。天童さんらしくなく(すいません)ほっこりする話でした。2020/01/04