出版社内容情報
朝顔栽培に熱を上げる北町同心中根興三郎は知人のおみねから家出した友人を探してほしいと頼まれる(くだりの小紋)。ほか五編収録。
内容説明
変化朝顔の栽培が生きがいの同心・中根興三郎は、菊作りで糊口をしのぐ御家人・中江惣三郎と知り合う。だが帰り路、興三郎は中江と間違えられて、謎の侍たちに襲われかける。じつは中江は金のために菊を使って悪事を重ね、恨みを買っていたという。興三郎は憤りつつ、中江のしていることに疑問を抱く…。花を愛する人びとが織りなす江戸の人間模様。
著者等紹介
梶よう子[カジヨウコ]
東京都生まれ。フリーライターとして活動するかたわら小説を執筆。2005年「い草の花」で九州さが大衆文学賞を受賞。2008年、『一朝の夢』で松本清張賞を受賞し、単行本デビュー。2016年、『ヨイ豊』で歴史時代作家クラブ賞(作品賞)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
183
『朝顔同心』みたび!タイトル作を含む6話、どの話も良い。変化朝顔だけではなく、花は奥が深い。そこに育てる人の愛と情けが肥やしとなってじんわりと優しい読書になった。ちょっとだけ疲れていた私の心がほぐされた読後感。興三郎のキャラがいいのだなぁ。2019/10/30
初美マリン
120
朝顔を育てる同心、変わったキャラクターでは、ありますが、ほっこりします。2020/02/12
真理そら
75
『一朝の夢』『夢の花、咲く』に続く朝顔同心・中根興三郎の物語。読み始めて前作までの設定を完全に忘れていることに気づいたが、読み進めているうちになんとなく興三郎のキャラも思い出してきて楽しく読めた。カバーイラストを見るとおみねちゃんと何とかなったのかと思うがそういうこともなく淡々とした話の進み方が心地よい。2020/01/13
ぶんこ
62
朝顔以外には、とんと興味を持てない暇な同心興三郎さんですが、今巻ではおみね、お徳の2人の娘さんからの人探しで活躍していました。どちらも探していた女性たちが幸せな展開になったのも微笑ましい。途中で何度か三好さんという浪人に助けられた興三郎。あれ?三好さんは同じシリーズでは興三郎さんの家に居候していたような?続きを先に読んでしまったかと梶さんの作品一覧から読んだ本を探したら一朝の夢」でした。2020/01/05
みい坊
34
「朝顔同心」シリーズ、三作目にして初めて出会った。奉行所一番の閑職をひとりで担当しながら、朝顔栽培に打ち込む主人公、興三郎。いつか黄色い朝顔を咲かせる事を夢に見てひたすら朝顔に向き合う。大柄な背中を丸めながら歩く癖、口下手なくせに朝顔の事となると相手が困るほど語ってしまう性分。興三郎の人となりが伺えて好ましい。師匠 留次郎の娘おみねとの会話も楽しい。おみねに引っ張られながらも、やんわりと受け止めている興三郎。おみねの幼馴染み、お徳。善の糸車のおそめ。懸命に生きる人の姿が切なく温かい。前作も読みたいと思う。2019/11/10